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タワーマンションを検討するとき、私ならここを見る。

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 かなり前になりますが、「タワーマンションのデメリット」というタイトルの記事を書きました。長らく検索流入が多く、400本以上書いた「高級マンション」ガイド記事のなかでも5本の指に入るPVを獲得したのではないかと思います。このなかで最も強調したかったことは、タワーは眺望がウリなのだから、どの位置・姿勢でも外が見えることが望ましい、ということ。実際の居住者から聞いた失敗談からヒントを得ました。あれから15年以上経って、視界が抜けないバルコニーは(プライバシー保護上やむを得ない場合を除き)あまり見かけなくなったのではないでしょうか。

モデルルームからの景色
モデルルームからの景色

 タワーマンションの増加とともに、その希少性は薄れ、優れた商品企画や立地特性を有したものだけが、将来にわたり資産価値を維持していくものと思われます。実需ファミリー向けから数億円を超える超高額物件まで、それなりの数の竣工済超高層物件を見てきた中で、優位性があり、多くの支持を得るであろうと思われるタワーマンションを選別するための見方を整理したいと思います。リセールバリュー等データの裏付けはありません。あくまで「私ならここを見る」という内容です。タイトルもその様にしました。ポイントは3つあります。

①「モデルルームではわかりにくい」資産価値のヒント

 デベロッパーが外観デザインとエントランスに注力している、という話はこれまで何度も書いてきました。このトレンドの起点にあるのは「顧客が資産価値を重視し始めた」からです。では、なぜそれらが資産価値に影響しやすいかというと、不動産仲介の営業マンが「第一印象の良いマンションは決まりやすい」と口をそろえて言うからです。中古で売り出したとき、当たり前ですが「選ばれやすいマンションは値崩れしにくい」。

 通常、中古マンションを購入検討するとき、1つだけではなく、2,3の物件を同日に回ったりします。このとき、有力候補として選ばれるのは、専有部の状態や単価の差よりも「建物の第一印象が勝ち残る要素になる」。具体的には、はじめて建物を目にしたときの印象を左右する「外観デザイン」、建物に一歩足を踏み入れたときの印象を左右する「エントランス」なわけです。

吹き抜けのある開放的なエントランスホール「ザ・パークハウス晴海タワーズ」

 大規模マンションのリセールバリューが、中小規模より優れているのは、ここに原因があると思っています。例えば、ホテルのような二層吹き抜けのエントランスは、高さ制限と限られた容積率の中で「売り床」を創出しなければならない分譲事業の場合、中小規模の建物では難しい。近年、定番となったエントランスホールやロビーから外構(植栽や水盤など)の景色を一体化させて見せる設えも敷地面積(要は空地)が大きくなければ、魅力化することは困難です。

 もちろん、大規模マンションが資産性を維持するうえで、優位な理由はそれだけではありません。各種共用施設が豊富、管理コストなどに規模のメリットが見込める、不動産特性上存在自体が(認知を高める)広告になる、仲介会社がHP上に地域のランドマーク的なマンションとして取り上げてくれている(=勝手にPRしてくれる)など様々な理由を挙げることができます。

 長くなりましたが、見るべきポイントの1つは「最寄駅からのアプローチで、建物が目に入った場所から住戸の玄関扉までをイメージすること」です。日常目にするアングル(人の目線)でファサードは格好が良いか、エントランスに入った瞬間の印象はどうか、コンシェルジュの配置場所は利便上適切か、動線上に魅せ場はあるか、規模と開放感は合致しているか、エレベーターホールは十分なスペースがあるか、共用廊下はストレスがないか、など。そして、これらは新築分譲の工事中の段階では見極めが難しく、現地視察、共用図面、模型、パースを見ながら想像するしかありません。

 とくに、エントランスからエレベーターホール迄の動線や共用施設とのつながりは、繰り返し図面を見て視界の広がりを頭の中でできるだけ詳細に想像することが重要です。

「パークコート六本木ヒルトップ」ロビー等共用施設のつながり
「麻布霞町パークマンション」のゲート回り

 これまで見てきたマンションの中で、やはり印象に残るマンションは「住戸扉までのアプローチの演出」が素晴らしいです。このあたりの感覚は、高級ホテルを連想するとわかりやすいかもしれません。昭和の高度経済成長期に建てられたデザイン・空間と最近建ったラグジュアリーホテルを比較してみてください。好みだけで言えば意見は分かれるでしょうが、「どっちが市場でウケそうか?」の問いに対する答えは明快ではないでしょうか。

安藤忠雄設計「表参道ヒルズゼルコバテラス」開放廊下と眺望

②やはり超高層の場合、構造には注目したい

 次に、構造です。大きな建物になるほど構造は重要ではないかと思いますし、背の高い建物になるほど地震のときには「しなり」が大きくなることから、アスペクト比(塔状比)とともに構造はより注視されるべきです。

 結論から言えば、タワーマンションは免震が理想ではないでしょうか。制振と免震が同列で見られがちですが、地盤と建物を絶縁するという点で免震は全く異なる概念だととらえています。住宅性能上、「耐震基準を満たす」建物を通常グレードとすれば、その次が「災害時の避難所となる」建物、さらにその上の最上グレードが「防災の拠点」となる建物で、免震はこれに該当します。消防署や警察署と同じ耐震性能を誇るということです。ちなみに、東京カンテイのデータ集計では宮城県や愛知県は(制振ではなく)、免震マンションが普及しています。

「六本木ヒルズレジデンスD」免震ピット(地下)内の積層ゴム

 タワーマンションの構造では、柱もチェックします。間取り図ではなく、まずは階数ごとの平面図を見て、柱だらけであれば要注意です。間取り図では、どこに柱があるかをチェックします。タワーマンションにかかわらず、専有内に柱がある場合は、それが将来的にみても(リフォーム時などに)ストレスにならないか、認識しておかなくてはなりません。

 外周の柱はアウトフレームかどうか、が問われますが、資産価値をより左右する外観デザインにも重きを置く場合は、総合的な判断が求められるところです。たしかに、アウトフレームは家具レイアウト等を考慮すればこだわり条件にはなりますが、外に出した結果「外観デザインがいまいち」になってしまっては意味がありません。出っ張りの有無よりも「デザインをこだわった結果、この程度なら仕方ない」と思えるレベルかどうかの視点ももつべきでしょう。

 例えば、ある優れたタワーマンションは、柱を室内に取り込むかわりに、それを円形にしたり、その分面積を広めにとる設定にしていました。総じてそのような工夫が見て取れる建物は、眺望の醍醐味が味わえる「角」部分は柱を取り除き、パノラマを楽しめるような設計になっていました。

「アークヒルズ仙石山レジデンス」モデルルームのリビング(コーナー部)

 構造では、階高もポイントです。天井高が比較されがちですが、結局梁が空間内を圧迫するかどうかは階高次第ということになります。ここはサッシュの高さや扉の高さも併せてみることで、開放感がイメージできると思います。

③上層階の顧客ターゲット設定について

 最後に、上層階の顧客ターゲットをイメージします。といっても、一般の方にはわかりにくいかもしれません。もう少しかみ砕いていうと「最も高い住戸はマーケットのどの辺のステイタスを目指したのだろう」ということです。具体的には、専有面積、体積(天井の高さ)、グロス価格、単価、設備・仕様、基準階との違い、何が見えるか(眺望)等です。

 今でこそ、多くの方が資産価値を重んじてマンションを選別しますが、デフレに時代は「資産価値を重視するのは富裕層の特徴」だといわれていました。それだけ富裕層は「希少性」「エリアナンバーワン」に敏感だということです。

「平河町森タワーレジデンス」ペントハウスのリビングダイニング

 縦に長いタワーマンションは、上の階が安く売りだされてしまうと(同タイプの)下の階のオーナーはもし売り出すとなったとき「それに引っ張られて価格設定をしなければならない」と覚悟しなければなりません。だから、できるだけ上層階は経済的に余裕のあるオーナーに所有してもらいたいと思うはずです。

 近隣エリアの中でも、最上階は最も優れたスペックを有した住戸を設けたなら、作り手はよほど自信があるということでしょう。たいてい数億円はするもので、買える人は限られてきます。自信がなければそこそこの広さに抑えるでしょう。つまり上層階のつくり方ひとつで、マーケットの中でのステイタス(ポジショニング)を読み取ることができます。どの住戸を購入するにせよ、最高額住戸は(作り手が)エリアナンバーワンの入れ替えにチャレンジするほど自信のある物件を選びたいものです。

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