2020年3月度、神奈川県「川崎市」の中古マンション市場動向をレポートする。東日本不動産流通機構発表の「成約件数」「成約単価」「在庫件数」の推移より、マーケットの動向を分析してみたい。
成約件数は、前年同月比-25.9%ダウン
下のグラフは、中古マンション成約件数の推移をあらわしたものである。見やすさを考慮し、神奈川県は折れ線グラフで示している。2つのトレンドは、ほぼ同じような動きをしていることがわかる。
なお、直近のデータは、
・神奈川県: 862件
・川崎市: 200件 となり、
これは昨年同月比では、
・神奈川県:-15.7%ダウン
・川崎市:-25.9%ダウン
川崎市は県全体に比べても大幅に下落。コロナウイルスによる市場の低迷が鮮明といえるだろう。ちなみに、東日本大震災では、2011年3月から2か月連続で前年同月比-11%、その後-25%を記録した。今回は、すでに震災直後を上まわる減少が記録された。さらにその幅が広がるかどうか、注意が必要だ。

成約単価は、前年同月比-1.4%ダウン
下のグラフは、中古マンション成約単価の推移をあらわしたものである。アベノミクス以降、川崎市は神奈川県のトレンドをやや上まわる上昇率を継続していた様子がうかがえる。
なお、直近のデータは、
・神奈川県:43.10万円/m2
・川崎市:55.39万円/m2 となり、
これは昨年同月比では、
・神奈川県:-2.5%ダウン
・川崎市:-1.4%ダウン
川崎市においても、成約件数ほどに単価の影響(下落)は確認できない。コロナウイルスによる影響は件数に大きく、相場への影響は今後継続的な注視を要する。ちなみに、東日本大震災では、2011年3月以降で成約件数が前年同月比-11〜-25%を記録したときでも、概ね-11%以内の下落に留まった。また、リーマンショック(2008年9月)後9か月程度、概ね-3%から-13%であった。今回は、どの程度でおさまるだろうか。

在庫件数は、前年同月比-5.3%ダウン
下のグラフは、中古マンション在庫件数の推移をあらわしたものである。見やすさを考慮し、神奈川県は折れ線グラフで示している。2つのトレンドは、ほぼ同じような動きをしているが、ここ4年は川崎市の増加が更に著しい。
なお、直近のデータは、
・神奈川県:11,455件
・川崎市:2,168件 となり、
これは昨年同月比では、
・神奈川県:1.6%アップ
・川崎市:-5.3%ダウン
コロナウイルスによる影響はまだ明確に確認できない。というのも、リーマンショック前後では最高129%増の在庫の積み上げがみられ、東日本大震災では約47%もの増加が記録されている。引き続き注視していきたい。

下のグラフは、上記の川崎市中古マンション成約単価と在庫件数の推移をあわせたもの。在庫の増加が相場に与える影響を継続的にチェックしていく。

明日は、神奈川県 相模原市をレポートする。