2020年3月度、神奈川県の中古マンション市場動向をレポートする。東日本不動産流通機構発表の「成約件数」「成約単価」「在庫件数」の推移より、マーケットの動向を分析してみたい。
成約件数は、前年同月比-15.7%ダウン
下のグラフは、中古マンション成約件数の推移をあらわしたものである。見やすさを考慮し、首都圏は折れ線グラフで示している。2つのトレンドは、ほぼ同じような動きをしていることがわかる。
なお、直近のデータは、
・首都圏:3,642件
・神奈川県: 862件 となり、
これは昨年同月比では、
・首都圏:-11.5%ダウン
・神奈川県:-15.7%ダウン
神奈川県も大幅に下落。コロナウイルスによる市場の低迷が鮮明といえる。ちなみに、東日本大震災では、2011年3月に前年同月比-17%、その後の半年間は前年同月比-4~-15%であった。今回は、すでに震災直後と同等の減少が記録された。さらにその幅が広がるかどうか、注意が必要だ。

成約単価は、前年同月比-2.5%ダウン
下のグラフは、中古マンション成約単価の推移をあらわしたものである。アベノミクス以降、神奈川県は首都圏よりやや穏やかな上昇率を継続していた様子がうかがえる。
なお、直近のデータは、
・首都圏:54.05 万円/m2
・神奈川県:43.10万円/m2 となり、
これは昨年同月比では、
・首都圏: 0.2%アップ
・神奈川県:-2.5%ダウン
神奈川県においても、成約件数ほどに単価の影響(下落)は、まだ確認できないようだ。コロナウイルスによる影響は件数に大きく、相場への影響は今後継続的な注視を要する。ちなみに、東日本大震災では、2011年3月から約半年間に成約件数が前年同月比-4~-17%を記録したときでも、概ね-7%以内の下落に留まった。また、リーマンショック(2008年9月)後7か月程度、概ね-5%から-8%であった。今回は、どの程度でおさまるだろうか。

在庫件数は、前年同月比1.6%アップ
下のグラフは、中古マンション在庫件数の推移をあらわしたものである。見やすさを考慮し、首都圏は折れ線グラフで示している。2つのトレンドは、ほぼ同じような動きをしているが、ここ1年では少し差が出てきたようにも見て取れる。
なお、直近のデータは、
・首都圏:46,192件
・神奈川県:11,455件 となり、
これは昨年同月比では、
・首都圏:-3.3%ダウン
・神奈川県:1.6%アップ
コロナウイルスによる影響はまだ明確に確認できない。リーマンショック前後では最高118%増の在庫の積み上げがみられ、東日本大震災では約26%の増加が記録されている。引き続き注視していきたい。

下のグラフは、上記の神奈川県中古マンション成約単価と在庫件数の推移をあわせたもの。在庫の増加が相場に与える影響を継続的にチェックしていく。

明日は、東京都 都心3区をレポートする。