2020年3月度、埼玉県「東部地区」の中古マンション市場動向をレポートする。東日本不動産流通機構発表の「成約件数」「成約単価」「在庫件数」の推移より、マーケットの動向を分析してみたい。
成約件数は、前年同月比-23.9%ダウン
下のグラフは、中古マンション成約件数の推移をあらわしたものである。見やすさを考慮し、埼玉県は折れ線グラフで示している。2つのトレンドは、2011年以降ほぼ同じような動きをしていることがわかる。
なお、直近のデータは、
・埼玉県:413件
・東部地区:54件 となり、
これは昨年同月比では、
・埼玉県:-17.1%ダウン
・東部地区:-23.9%ダウン
東部地区も大幅に下落。コロナウイルスによる市場の低迷が顕著にあらわれたといえるだろう。ちなみに、東日本大震災では、2011年3月は前年同月比-5%であった。今回は、すでに震災直後を大幅に上まわる減少を記録した。さらにその幅が広がるかどうか、注意が必要だ。
成約単価は、前年同月比7.9%アップ
下のグラフは、中古マンション成約単価の推移をあらわしたものである。この2,3年、東部地区は埼玉県のトレンドより穏やかな上昇率を継続していた様子がうかがえる。
なお、直近のデータは、
・埼玉県:33.40 万円/m2
・東部地区:30.06 万円/m2 となり、
これは昨年同月比では、
・埼玉県:5.1%アップ
・東部地区:7.9%アップ
東部地区においても、成約件数ほどに単価の影響(下落)は、まだ確認できないようだ。コロナウイルスによる影響は件数に多大であり、相場への影響は今後継続した注視を要する。ちなみに、東日本大震災では、2011年3月以降の成約件数が前年同月比-5%のときは、概ね-3~-24%以内の下落であった。また、リーマンショック(2008年9月)後の6か月程度は、概ね-6%から-18%であった。今回は、どの程度でおさまるだろうか。
在庫件数は、前年同月比8.3%アップ
下のグラフは、中古マンション在庫件数の推移をあらわしたものである。見やすさを考慮し、埼玉県は折れ線グラフで示している。2つのトレンドは、ほぼ同じような動きをしているが、東日本大震災以降は東部地区の増加が著しい。
なお、直近のデータは、
・埼玉県:5,016件
・東部地区:731件 となり、
これは昨年同月比では、
・埼玉県:-0.1%ダウン
・東部地区:8.3%アップ
県全体に比べると、明らかに増加傾向にあるといえる数値だ。しかしながら、コロナウイルスによる影響か否かはまだ断定できない。というのも、リーマンショック前後では最高123%増の在庫の積み上げがみられ、東日本大震災では47%もの増加が記録されている。引き続き注視する必要があるだろう。
下のグラフは、上記の東部地区中古マンション成約単価と在庫件数の推移をあらわしたものである。引き続き、在庫の増加が相場に与える影響をチェックしていきたい。
明日は、東京都 多摩地区をレポートする。