2020年3月度、東京都「多摩地区」の中古マンション市場動向をレポートする。東日本不動産流通機構発表の「成約件数」「成約単価」「在庫件数」の推移より、マーケットの動向を分析してみたい。
成約件数は、前年同月比 -1.1%ダウン
下のグラフは、中古マンション成約件数の推移をあらわしたものである。見やすさを考慮し、東京都は折れ線グラフで示している。2つのトレンドは、ほぼ同じような動きをしていることがわかる。
なお、直近のデータは、
・東京都:1,930件
・多摩地区:363件 となり、
これは昨年同月比では、
・東京都:-9.1%ダウン
・多摩地区:-1.1%ダウン
多摩地区もわずかながら下げた。コロナウイルスによる市場の低迷が注目される中、まだ明確な影響は確認できない。ちなみに、東日本大震災では、2011年3月から3ヵ月連続で前年同月比-10~-22%を記録。今後の動きが注目される。
成約単価は、前年同月比 0.3%アップ
下のグラフは、中古マンション成約単価の推移をあらわしたものである。アベノミクス以降、多摩地区は東京都のトレンドよりかなり穏やかな上昇率を継続していた様子がうかがえる。
なお、直近のデータは、
・東京都:71.05 万円/m2
・多摩地区:40.35万円/m2 となり、
これは昨年同月比では、
・東京都:-1.1%ダウン
・多摩地区:0.3%アップ
多摩地区において、成約単価への影響(下落)は、まだ確認できない。コロナウイルスによる相場への影響は今後継続した注視を要する。ちなみに、東日本大震災では、2011年3月から3ヵ月連続で成約件数が前年同月比-10~-22%を記録したときでも、概ね-9%以内の下落に留まった。また、リーマンショック(2008年9月)後は7か月程度は概ね-6%から-12%であった。今回は、どの程度でおさまるだろうか。
在庫件数は、前年同月比-12.5%ダウン
下のグラフは、中古マンション在庫件数の推移をあらわしたものである。見やすさを考慮し、東京都は折れ線グラフで示している。2つのトレンドは、ほぼ同じような動きをしている。
なお、直近のデータは、
・東京都:25,866件
・多摩地区:3,720件 となり、
これは昨年同月比では、
・東京都:-6.3%ダウン
・多摩地区:-12.5%ダウン
在庫件数の減少は顕著といえる。ちなみに、リーマンショック前後では最高123%増の在庫の積み上げがみられ、東日本大震災では33%の増加が記録されている。コロナの影響については、引き続き注視する必要があるだろう。
下のグラフは、上記の多摩地区中古マンション成約単価と在庫件数の推移をあらわしたものである。引き続き、在庫の増加が相場に与える影響をチェックしていきたい。
次回は、千葉県 総武地区をレポートする。