2020年4月度、埼玉県「中央地区」の中古マンション市場動向をレポートする。東日本不動産流通機構発表の「成約件数」「成約単価」「在庫件数」の推移より、マーケットの動向を分析してみたい。
緊急事態宣言発令後、マーケットはどのように変化したのだろうか。
成約件数は、前年同月比 -28.1%ダウン
下のグラフは、中古マンション成約件数の推移をあらわしたものである。見やすさを考慮し、埼玉県は折れ線グラフで示している。直近、4月度の数値が急減しているのがわかる。
昨年同月比で、
・埼玉県:-40.8%ダウン
・中央地区:-28.1%ダウン
と、比較的大幅な減少となったが、首都圏全体においては、最小値であった。ちなみに首都圏は-52.6%ダウンである。
東日本大震災では、2011年3月以降に3ヵ月連続前年同月比-20~-47%を記録したが、今回は、前月(3月の-25.0%)に続いて震災直後と同等のダウンである。
実数では、中央地区が41件。これは2008年1月以降、最低値を記録した。埼玉県全体では同期間において、2008年8月に次ぐ低い値となった。
成約単価は、前年同月比 -7.9%ダウン
下のグラフは、中古マンション成約単価の推移をあらわしたものである。
4月度のデータは、
・埼玉県:29.98万円/m2
・中央地区:35.49 万円/m2 となり、
これは昨年同月比では、
・埼玉県:-3.8%ダウン
・中央地区:-7.9%ダウン
埼玉県全体において、西部地区に続く下落ではあったが、成約件数ほどに単価の影響(下落)は、まだ確認できないようだ。コロナウイルスによる影響は件数に多大であり、相場への影響は今後継続した注視を要する。ちなみに、東日本大震災では、2011年3月以降で成約件数が3ヵ月連続で前年同月比-20~-47%を記録したときでも、概ね-12%以内の下落に留まった。また、リーマンショック(2008年9月)後の4か月程度は、概ね-11%から-15%であった。
在庫件数は、前年同月比-0.7%ダウン
下のグラフは、中古マンション在庫件数の推移をあらわしたものである。見やすさを考慮し、埼玉県は折れ線グラフで示している。2つのトレンドは、ほぼ同じような動きをしている。
4月度のデータは、
・埼玉県:5,012件
・中央地区:1,163件 となり、
これは昨年同月比では、
・埼玉県:0.6%アップ
・中央地区:-0.7%ダウン
急減(前年同月比-28.1%)した成約件数に対し、新規登録件数は -15.8%であった。
コロナウイルスによる影響はまだ明確に確認できない。ちなみに、リーマンショック前後では最高126%増の在庫の積み上げがみられ、東日本大震災では46%もの増加が記録されている。引き続き注視する必要があるだろう。
下のグラフは、上記の中央地区中古マンション成約単価と在庫件数の推移をあらわしたものである。引き続き、在庫件数の増加が相場に与える影響をチェックしていきたい。
明日は、千葉県 総武地区をレポートする。
参考サイト
埼玉県 中央地区 中古マンション築年数(2020年2月度)
埼玉県 中央地区 中古マンション市場動向(2020年3月度)