2020年4月度、埼玉県「さいたま市」の中古マンション市場動向をレポートする。東日本不動産流通機構発表の「成約件数」「成約単価」「在庫件数」の推移より、マーケットの動向を分析してみたい。
緊急事態宣言発令後、マーケットはどのように変化したのだろうか。
成約件数は、前年同月比-50.0%ダウン
下のグラフは、中古マンション成約件数の推移をあらわしたものである。見やすさを考慮し、埼玉県は折れ線グラフで示している。直近、4月度の数値が急減しているのがわかる。
昨年同月比で、
・埼玉県:-40.8%ダウン
・さいたま市:-50.0%ダウン
と、埼玉県全体に比べても、大幅な減少となった。ちなみに首都圏は-52.6%ダウンである。
東日本大震災では、2011年3月に-38%、その後も2ヵ月前年同月比-22~-25%を記録したが、それらを大きく上回るダウンである。
実数では、さいたま市が45件。これは2008年1月以降、2008年8月「43件」に次いで低い値である。埼玉県全体でも、同期間において2008年8月に次ぐ低い数値を記録した。
成約単価は、前年同月比 -5.2%ダウン
下のグラフは、中古マンション成約単価の推移をあらわしたものである。
4月度のデータは、
・埼玉県:29.98 万円/m2
・さいたま市:41.39万円/m2 となり、
これは昨年同月比では、
・埼玉県:-3.8%ダウン
・さいたま市:-5.2%ダウン
さいたま市においても、成約件数ほどに単価の影響(下落)は、まだ確認できないようだ。コロナウイルスによる影響は件数に多大であり、相場への影響は今後継続した注視を要する。ちなみに、東日本大震災では、2011年3月以降で成約件数が前年同月比-22~-38%を記録したときには、概ね-9%以内の下落に留まった。しかしながら、リーマンショック(2008年9月)前後の6か月程度は、概ね-11%から-20%であった。
在庫件数は、前年同月比-3.4%ダウン
下のグラフは、中古マンション在庫件数の推移をあらわしたものである。見やすさを考慮し、埼玉県は折れ線グラフで示している。2つのトレンドは、ほぼ同じような動きをしている。
4月度のデータは、
・埼玉県:5,012件
・さいたま市:1,206件 となり、
これは昨年同月比では、
・埼玉県:0.6%アップ
・さいたま市:-3.4%ダウン
急減(前年同月比-50.0%)した成約件数に対し、新規登録件数は-14.5%であった。
さいたま市は4か月連続で減少。ここでもコロナウイルスによる影響はまだ明確に確認できない。ちなみに、リーマンショック前後では最高131%増の在庫の積み上げがみられ、東日本大震災では54%もの増加が記録されている。引き続き注視する必要があるだろう。
下のグラフは、上記のさいたま市中古マンション成約単価と在庫件数の推移をあらわしたものである。引き続き、在庫件数の増加が相場に与える影響をチェックしていきたい。
明日は、埼玉県 中央地区をレポートする。
参考サイト
さいたま市 中古マンション築年数(2020年2月度)
埼玉県 さいたま市 中古マンション市場動向(2020年3月度)