2020年5月度、東京都「城北地区」の中古マンション市場動向をレポートする。東日本不動産流通機構発表の「成約件数」「成約単価」「在庫件数」の推移より、マーケットの動向を分析してみたい。
アフターコロナのマーケットはどのように変化したのだろうか。
成約件数は、前年同月比 -54.1%ダウン
下のグラフは、中古マンション成約件数の推移をあらわしたものである。見やすさを考慮し、東京都は折れ線グラフで示している。5月度の数値も大幅に減少しているのがわかる。
5月度のデータは、
・東京都:882件(4月は、812件)
・城北地区:102件(4月は、134件)
と、2008年1月以降、最低値を記録した。
これは昨年同月比で、
・東京都:-37.6%ダウン(4月は、-55.3%ダウン)
・城北地区:-54.1%ダウン(4月は、-49.6%ダウン)
2か月連続で大幅な減少となり、首都圏においては、昨年同月比がもっとも低い数値であった。
東日本大震災では、2011年3月から3ヵ月連続で前年同月比-8~-24%を記録したが、それら大きく上回るダウンである。
成約単価は、前年同月比 1.3%アップ
下のグラフは、中古マンション成約単価の推移をあらわしたものである。
5月度のデータは、
・東京都:70.57万円/m2
・城北地区:68.61万円/m2 となり、
これは昨年同月比では、
・東京都:2.5%アップ
・城北地区:1.3%アップ
城北地区においても、成約件数ほどに単価の影響(下落)は、まだ確認できないようだ。コロナウイルスによる影響は件数に多大であり、相場への影響は今後継続した注視を要する。ちなみに、東日本大震災では、2011年3月から3ヵ月連続で成約件数が前年同月比-8~-20%を記録したとき、おおむね-10%以内の下落に留まった。また、リーマンショック(2008年9月)直後は-15%、その後8か月はおおむね-6%から-12%であった。
在庫件数は、前年同月比 1.0%アップ
下のグラフは、中古マンション在庫件数の推移をあらわしたものである。見やすさを考慮し、東京都は折れ線グラフで示している。2つのトレンドは、ほぼ同じような動きをしている。
5月度のデータは、
・東京都:25,932件
・城北地区:4,151件 となり、
これは昨年同月比では、
・東京都:-4.0%ダウン
・城北地区:1.0%アップ
ここでもコロナウイルスによる影響はまだ明確に確認できない。ちなみに、リーマンショック前後では最高130%増の在庫の積み上げがみられ、東日本大震災では40%弱の増加が記録されている。引き続き注視する必要があるだろう。
下のグラフは、上記の城北地区中古マンション成約単価と在庫件数の推移をあらわしたものである。引き続き、在庫件数の増加が相場に与える影響をチェックしていきたい。
次回は、神奈川県 川崎市をレポートする。
参考サイト
城北地区 中古マンション築年数(2020年2月度)
東京都 城北地区 中古マンション市場動向(2020年3月度)
東京都 城北地区 中古マンション市場動向(2020年4月度)