2020年8月度、神奈川県「湘南地区」の中古マンション市場動向をレポートする。東日本不動産流通機構発表の「成約件数」「成約単価」「在庫件数」の推移より、マーケットの動向を分析してみたい。
コロナ禍のマーケットはどのように変化しているのだろうか。
成約件数は、前年同月比 +42.5%
下のグラフは、中古マンション成約件数の推移をあらわしたものである。見やすさを考慮し、神奈川県は折れ線グラフで示している。
8月度のデータは、
・神奈川県:772件(7月: 727件、6月: 748件、5月: 407件、4月:390件)
・湘南地区:114件(7月: 105件、6月: 111件、5月: 55件、4月:55件) となり、
これは昨年同月比で、
・神奈川県:+25.7%(7月:-7.2%、6月:-15.2%、5月:-40.2%、4月: -52.1%)
・湘南地区:+42.5%(7月:+15.4%、6月:-11.2%、5月:-36.8%、4月: -44.4%)
前月(7月)に続き昨年の実績を大きく上回った。5か月ぶりに前年比を大幅に上回った神奈川県全体で、2か月連続で昨年実績を上回ったのは湘南地区だけである。また、首都圏全体でみても、2か月連続でもっとも上昇率が大きかった(注:2020年9月28日訂正<7月度は首都圏でもっとも上昇率が高く、8月度は埼玉県中央地区(後日報告)に次ぐ上昇率であった>)。ちなみに首都圏は +18.2%(7月は、-2.4%)である。

成約単価は、前年同月比 +4.4%
下のグラフは、中古マンション成約単価の推移をあらわしたものである。
8月度のデータは、
・神奈川県:45.01万円/m2
・湘南地区:36.53万円/m2 となり、
これは昨年同月比では、
・神奈川県:+4.4%
・湘南地区:+4.4%
湘南地区においては、前月(7月:+10.5%)、前々月(6月:+14.2%)に続き3か月連続で前年比を上回った。

在庫件数は、前年同月比 -19.9%
下のグラフは、中古マンション在庫件数の推移をあらわしたものである。見やすさを考慮し、神奈川県は折れ線グラフで示している。2つのトレンドは、ほぼ同じような動きをしている様子が見て取れる。しかし、この半年間は湘南地区の減少が著しい。
8月度のデータは、
・神奈川県:10,688件
・湘南地区:1,191件 となり、
これは昨年同月比では、
・神奈川県:-7.8%
・湘南地区:-19.9%
と、首都圏全体においてもっとも減少が大きかった。
湘南地区は8か月連続で減少し、2011年4月以降最も低い数値である。コロナウイルスによる影響は確認できない。ちなみに、リーマンショック前後では最高112%増の在庫の積み上げがみられ、東日本大震災では約31%の増加が記録されている。引き続き注視したい。

下のグラフは、上記の湘南地区中古マンション成約単価と在庫件数の推移をあわせたもの。引き続き、在庫件数と成約単価をチェックしていきたい。

次回は、埼玉県 さいたま市をレポートする。
参考サイト
神奈川県 湘南地区 中古マンション築年数(2020年2月度)
神奈川県 湘南地区 中古マンション市場動向(2020年3月度)
神奈川県 湘南地区 中古マンション市場動向(2020年4月度)
神奈川県 湘南地区 中古マンション市場動向(2020年7月度)