不動産系の資産運用を考える際、「大手不動産株」と「REIT(不動産投資信託)」のどちらを選ぶべきかは、投資目的やリスク許容度によって異なります。今回は、それぞれの特徴とおすすめポイントを整理します。
大手不動産株の特徴
- 値上がり益(キャピタルゲイン)重視
大手不動産会社(例:三井不動産、三菱地所、住友不動産)の株式は、企業の成長や不動産市況の好転による株価上昇を狙う投資です。 - 配当金も得られるが、REITより配当利回りは低め
配当利回りはREITより低い傾向がありますが、企業によっては増配や株主優待も期待できます。(前出の3社では、三井不動産が株主優待制度を導入しています。2025/6/4時点) - 経営戦略や海外展開、再開発プロジェクトなどによる成長性も反映
企業ごとの成長戦略や事業の多角化が株価に影響します。
REIT(不動産投資信託)の特徴
- 分配金利回りが高い(インカムゲイン重視)
REITは利益の約90%を分配する仕組みのため、安定した分配金収入を得やすいです。新NISAの成長投資枠で運用すれば、分配金も非課税となります。 - 少額から分散投資が可能
数万円から投資でき、複数の物件に分散投資できるため、空室リスクも分散されます。 - 株式同様に売買が容易
上場REITは株式と同じように、リアルタイムで売買できます。 - 複利効果は得にくい
分配金は自動で再投資されないため、長期の複利運用には向いていません。 - 金利上昇時は価格が下落しやすい
一般に金利上昇はREITに逆風ですが、賃料上昇やインバウンド需要増などプラス要因もあります。
比較表
特徴 | 大手不動産株 | REIT(不動産投資信託) |
主な収益 | 値上がり益+配当 | 分配金(インカムゲイン) |
配当・分配利回り | 低め〜中程度 | 高い(4〜6%台も) |
投資単位 | 数十万円〜 | 数万円〜 |
分散投資 | 1社ごと | 複数物件に自動分散 |
売買のしやすさ | 株式市場で売買 | 株式市場で売買 |
複利効果 | あり(再投資可) | 基本的に単利 |
金利上昇の影響 | 間接的(業績に反映) | 直接的(価格下落要因) |
成長性 | 企業の戦略・市況に左右される | 安定収入重視 |
節税効果 | 株主優待や配当控除など | 新NISAなら分配金も非課税 |
どちらがおすすめ?
- 安定した分配金収入を重視し、少額から手軽に始めたい人にはREITがおすすめです。新NISAの非課税枠を活用すれば、分配金に税金がかからず、インカムゲイン投資として優れています。
- 企業の成長性や値上がり益を狙いたい人、長期的な複利運用を重視したい人には大手不動産株がおすすめです。株主優待や増配も魅力です。
補足
- リスク分散の観点から、両方を組み合わせてポートフォリオを構築するのも有効です。REITは株式市場と異なる値動きをすることもあるため、資産全体の安定化に寄与します。
- 不動産クラウドファンディングなど、他の不動産系資産運用商品も選択肢の一つですが、手軽さや流動性ではREITが優れています。
まとめ
安定収入・少額投資・分散効果を重視するならREIT、成長性や株主優待・複利運用を重視するなら大手不動産株。投資目的に応じて選ぶのが賢明です。両者の長所を活かして組み合わせるのもおすすめです。