無意識の心地よさを味わう
「入ったとたん、なんとなく気持ちが落ち着く」そんなモデルルームに出会うことがある。天井が高いとか、高級な床材や石を用いているとか、いろんな要素がたいていは絡んでいるのだが、もっと根源的なものからくる、部屋全体に漂う空気が醸し出す安定感とでも言ったらよいだろうか。
原因を探ってみると、シンメトリー(左右対称)効果がその主たる要素である場合が少なくない。窓や照明、家具も含めたレイアウトが対になっている空間では、部屋中に整然とした落ち着いた雰囲気が満ちあふれ、居る者に安心感を与えてくれる。とりわけ重要だと思うのが、部屋の形である。整形であることはもちろん、タテヨコの長さが極端に違っていたり、梁の下がり方がアンバランスでは難しい。
上の図面は「番町パークハウス」130Aタイプの間取り。ダイナミックな40.3畳のリビングダイニングキッチンやベッドルームは、見事なまでに整った空間。収納や空調設備の配置もできるだけ左右対象を心がけたようだ。じつはこの建物、それ自体が左右対称に設計されている。外観、平面図、そして専有部。すべてにおいて貫かれたコンセプトなのである。
もちろん、生活者の目線も十分考慮されている。例えば、シューズインクローゼットの動線は、玄関から冷蔵庫までを最短距離で結ぶ。コンロの配置は、気持ち良いほど大胆でまるで舞台のようである。ベッドルームから入るドレッシングルームや書斎も使い勝手が良さそうだ。扉も要所に引き戸を取り入れ、その軌道が人の邪魔にならないよう配慮されている。
開放的なキッチンで、対話しながら料理を楽しむ
お寿司や天ぷらの専門店を思い浮かべると、料理をする人との会話を楽しみながら食するということが、いかに贅沢なことか。ここではそんなシーンが自宅で叶う。キッチンコーナーの天井高は、ダウンライトとエアコンが入ったうえで2.4m。リビングは同2.7mのゆとりを確保。
千代田区四番町。JR総武線「市ヶ谷」駅徒歩3分。大通りから一本入った道路沿いに建つ。左右対称の真っ白な建物からは、住居とは思えないほどの威厳が漂う。専有面積も大きめにつくられた。番町エリアを代表する1棟といえよう。地上17階建て、総戸数128戸。分譲三菱地所。設計三菱地所設計、施工大林組。2007年竣工
「住み替えやリフォームの参考になるマンションの間取り」(『都心に住む』by SUUMO連載を再編)より抜粋しました。