借景を最大限に享受する方法
「リビングと寝室の位置が逆さま?」上の間取り図を見て、そんな違和感を持った人もいるのでは。
リビングダイニングは、その家のなかで最も日当たりの良い場所を選ぶのが一般的。一方、就寝がその主な目的である寝室は、「向き」がそれほど重要視されることはない。
しかし、例外はある。ときに日照以上の価値を持つとされる眺望(借景)に秀でた立地の場合。一戸建てでは困難な地上数十メートル(超高層であれば、百数十メートル)にも達するマンションであれば、それはたびたび起こりうることだ。
さて、上記プランは「ブリリア六義園」Bタイプである。都心の希少な緑地である『六義園』に、道路を隔て、北西側に隣接するロケーション。設計者は、この恵まれた立地を最大限享受できる位置に、パブリックスペースであるリビングを配している。
もう少し詳細に記述しておこう。『六義園』は一辺が約300mの整形な日本庭園である。山手線の内側にあるマンションで最大の敷地面積を誇る「広尾ガーデンヒルズ」の約1.3倍ものスケールだ。さらに特筆すべきは、この物件がその一辺のちょうど中間地点に位置することである。この間取りの北西側がなぜ斜めにカットされているか。それは、貴重な借景をできるだけパノラマに近い状態で取り込みたかったから。つまり、視界を遮る柱や壁を極力排除しようと試みたのである。
公園隣接の物件には、もうひとつ大きなメリットが付く。それは将来にわたって、前に建物が建ちにくいこと。資産性を保つ上でも、有利な条件を備えているといえる。
約8.7haもの雄大日本庭園を日常の風景に
「六義園」の起源は江戸時代にまでさかのぼる。じつに300年以上の歴史を誇る。そんな由緒ある日本庭園をわが家のリビングからいつも眺められるというのはどんな気分だろう。「四季とともに暮らす」というフレーズが、これほど似合う場所はない。そう言っても過言ではないだろう。
文京区本駒込6丁目。JR山手線「駒込」駅徒歩7分。マンションの正面に「都立公園」の出入口があり、文字通り我が庭のような感覚で利用できる。前面道路は公園の塀と同色レンガを敷いた歩道が車道の両側にあり、落ち着いた街並み形成の一端を担う。地上11階建て、総戸数36戸。分譲東京建物。設計、施工大成建設。2005年竣工。