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都心の区分(マンション)投資、利回り目安は何%?

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 投資用物件が掲載されているポータルサイトや仲介会社のホームページには、必ずと言っていいほど、価格以外に「想定利回り」が記載されている。これは「これぐらいの家賃で貸せるだろう」といった目安となる「賃料」の年間分を「物件価格」(正式には売却希望価格)で割った値である。例えば、利回り10%であれば投入した資金が10年で回収でき、5%であればそれが20年になる。よって、高ければ高いほど投資効率が良い。

 実際に投資をはじめるのであれば、管理費や修繕積立金といった毎月かかる費用や年に一度払う租税公課、買ったときにかかった経費、そして空室率も加味しなければならない。前者を「表面利回り」、現実に手元に残る収入を対象にした後者を「実質(またはNOI)利回り」という。NOIとは「Net Operating Income」のこと。よく投資家が、略して「ネットでいくら?」などというのは表面利回りだけを見ていても十分検討できないからだ。

 不動産投資を行う上で、この「利回り」が重要指標であることは間違いではないが、その度合いは「時と場合による」いや正確に言うと「人と物件による」のである。例えば利回り3%で「低い」という人がいれば「十分」という人もいる。A物件で3%は「論外」だが、B物件なら3%でも「魅力的」ということだ。この<属性と物件特性を掛け合わせてみる>見方は、今の環境下におけるマンション市場をみる上で、さらには個別に物件を検討するときに、とても大切な視点である。詳しく説明してみよう。

「三番町東急アパートメント」リビングルームから皇居・大手町方面を望む

「利回り5%台」にこだわる人の特徴

 投資向け物件一覧を眺めていると、ある法則があるのに気付くだろう。それは「難のありそうな物件ほど利回りが高い」。築古、駅から遠い、都心から遠い、設備が古い。そういう物件は、総じて現状満室に程遠い。この手の物件を検討する人は、利回りにこだわり、手間を惜しまず、改善方法を考え、実行に移せる人だ。木造アパートがわかりやすい。○○荘からカタカナ名に建物名称を変更し、玄関回りに塗装を施して見栄え良くし、最寄り駅前の不動産会社を丁寧にまわる。トラブルやクレームにも自分で直接対処して、コストを最小限に抑える。

 ローンを使って買った人は、現金を持ち出さなくて済むか、計算しなくてはならない。必ず起こる「キャッシュアウト」に対して、手元に残る現金を緻密に算出しなければ資金が枯渇する事態に陥ってしまうからだ。

 つまり、「ローンを活用」して「オペレーションに手間ひまを惜しまない」人は、利回りを第一に考え、物件を選ぶ必要がある。

 マンションは、投資の分類では「区分」という。上記のような人にとって、原則「区分は相性が悪い」。共用部の工夫・改善が難しく、稼働率が極端だからだ。予算5,000万円で1戸区分を購入すれば空室率はゼロか100%。アパート1棟ならゼロは考えにくい。だから、マンション(区分)はリスクが高い、となる。

 近年、都心のマンション相場が高騰して新築(区分)の利回りはかなり下がった。それらを対象に「表面利回り5%は死守したい」という人は「ローンが前提」の可能性が高いと思う。

なぜ、番町や赤坂は3%台でも人気なのか

番町の街並み(正面は「英国大使館」)

 以前、WEBサイト「TERASS(テラス)」寄稿にあたり、都心人気立地の築10年ものマンション利回りを「東京カンテイ」に算出してもらった。下記リンクが該当サイト。

 そこでは、例えば「赤坂 3.5%」「南麻布・元麻布 3.5%」「番町 3.4%」。利回り重視派からすれば「とんでもなく低い値」だと受けとめられるだろう。記事にはないが、築10年以外にも同1年、3年、5年、15年、20年と経年での推移もチェックしたが、番町などはどの年数であれ、3%台を維持。安定して低かった。

都心マンションのリセールバリュー、利回りの見極め

 3Aや番町のように、利回りは低くても、なぜ分譲マンションが依然人気なのだろうか。それは再販価格を維持しやすいということもあるが、確実に売買・賃貸双方の需要があるということだ。とくに賃貸は、高額になるほど経済的に安定した借主が必須で上手く見つかれば滞納等のトラブルも起きにくい。

 ローンを使わずに購入すれば、(借り手さえつけば)現金の出入りも気にしなくて済む。築年が新しいと、躯体はもとより、設備トラブルの心配も少ない。3%台といっても、銀行に預けることを考えればまだまだ効率の良い投資運用である。株式市場はその企業の業績以外の要素でも乱高下するが、都心のマンション相場はそれに比べれば比較的安定している。毎月末、ほぼ確実に現金が口座に振り込まれることも不動産投資の魅力だ。

「解は、人によって異なる」

「三番町パークテラス桜苑」メインエントランス

 極端な話、100戸の区分を投資運用している人がいたとする。仮に「X氏」とする。X氏は、1戸だけ所有しているマンションもあれば、1棟で所有しているマンションもある。エリアも分散。ラインナップを豊富にすることで「同じ籠に卵を盛らない」投資の鉄則を厳守している。

 膨大な数の区分を運用するX氏は、手間ひまのかかる物件を検討するだろうか。競争相手の少ない物件の特徴はどのようなものか。再開発が止まない都心部において、X氏が興味関心を示す場所はどこか、マンションはどれか、マンションのどの住戸に買付を入れるか。X氏のライバルは、どこにいそうか。日本と中国、米国、欧州、中近東ではどこが多そうか。

 政治が安定して、中央銀行と政府が同じ方向を向き、都知事が都市力を高めようとする限りにおいて、都心部のマンションで「希少性に富む物件」は下がる理由が見当たらない。それは利回り指標だけでは説明できないものだ。

 属性と物件の特徴を掛け合わせてピンポイントの相場動向を見なければならない。「解は人によって異なるから」である。自分だけの価値観を振りかざして市場を解説することは不可能だ。マーケットを細分化して妥当な値付けができる人はどれだけいるだろうか。 

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