不動産投資の場合、利回りだけを見るのではなく「自分の指向・資産規模にあった物件を選ぶことが大事」だと書いた。詳しくは下記リンクを。
ここ数年、駅前再開発タワーマンションが周辺相場より3-5割高くても売れている。逆に、駅から遠い物件は相場相応でも販売進捗が遅い。共働き世帯は、駅から近いほうが良い。売れ行きも良い(=需要が集まるから資産価値としても有利)となると、無理をしてでも駅前を買ったほうが賢いと思いがちだ。
これは、エリア選びでも見られる現象である。高くても都心。資産価値を重要視するなら背伸びをしたほうが良い。たしかに、そういうセオリーが無いわけでもない。
ただ、かつてのようにマイホーム需要だけの市場ならその発想でも問題はなかっただろう。マイホームとして買った人は何らかの理由がない限り、そのまま住み続けると考えるのが自然だ。アベノミクスがはじまる前は、竣工前に転売する人などほぼ皆無だった。
だが、今の市況で「駅前再開発」を、「都心の好立地」を「躊躇することなく買う人」のなかには資産規模が大きい属性の顧客が少なからずいる。短期転売を考える投資家もいる。前者は相場の動向に一喜一憂することなく、空室のまま保有していたりする場合もある。市況の変化に動じない人でもあるのだが、他のマーケットに乗り換えるのも早い。複数持っているケースが多く、どれを売るかは「抱えるリスクの度合い」で決まる。後者は、竣工前に利益確定しようとする人もいるくらいだ。いずれにしても、マイホーム居住者と「物件に求める価値観が異なる」ことだけは確かである。
金利も低い。賃貸に住んでいるくらいなら、買ったほうが良い。多少、物件価格が高くても、だ。しかし、高値掴みしてはいけない物件がある。それは、マイホーム目的以外、「収益が目的」で所有している購入者割合が高く、「下落リスクを抱えている立地のマンション」である。エリアナンバーワンであれば、それほど気にする必要もないが、該当しないのであれば要注意だ。