地上200mのプライバシー
2014年開業した「虎ノ門ヒルズ」。地下を走る環状2号はいずれ羽田と都心を20分でつなぐ大動脈になり、地上部はシャンゼリゼ通りのような歩行空間を目指すという。52階建て、地上247メートル。「虎ノ門ヒルズレジデンス」はその上層に設けられた。地上200メートル級の眺めはほとんどの超高層ビルが眼下。視界の大半は空だ。数々のタワーからさまざまな眺望を体験してきたつもりだが、その内覧会では「高さの魅力」を再認識させられた。
上掲はマスコミや業界関係者に公開されたプラン。眺めの良さは言うまでもない。それより気になるのはマスターベッドルームのシャワーブース。なぜバルコニー側に向いているのか。
(略)
リビングダイニングの南西角、鋭角に張り出した床が特徴的だ。足元から天井まであるガラス窓の近くに立てば、まるで空に浮かんでいるような錯覚に陥るだろう。
「構造」と「空間の質」の関係

リビングダイニングルームをはじめ、主たるスペースの天井高は約2.6m。空調設備や梁などの出っ張りがほとんど存在しないところがポイント。大型のイタリア家具もバランス的な収まりが良い。広さと高さは絶対値だけでなく、互いの比率が均衡してはじめて「空間の質」を向上させる。したがって、階高などの「構造」がそれを決めるといっても過言ではない。

港区虎ノ門。銀座線「虎ノ門」駅から徒歩5分。ビル直結の「新駅」が日比谷線霞ケ関駅と神谷町駅間に設置する計画がある。地上52階建て。事務所、カンファレンス、ホテルなどが入居。居住者用にスパに直接入れる入口が設けられている。住宅は37~46階。総戸数172戸。一部住戸を販売。分譲森ビル。施工は大林組。2014年竣工。