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タワーマンションは、強風で揺れる?

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以前、ゼネコンに勤めていた友人から「タワーマンションは常に揺れている」と聞いたことがあります。「人が感じないだけで、実際には微妙に揺れているんだ」と。感覚が敏感な子どもにとって、発育に良くないなどという噂もありましたが、実際のところどうなのか。

超高層建築物のデメリット

一般的に、地上60m以上の高さを有する建築物を「超高層」といい、それがマンションの場合「タワーマンション」と呼んでいます。階数にして、およそ20階以上のものが該当します。最高層のタワーマンションは「麻布台ヒルズ レジデンス」で64階建て、地上262.9mですから、様々な高さのマンションをひとくくりにして「タワーマンション」と呼んでいることがわかります。

タワーマンションの特徴は、利便性の良い場所に建ちやすく、敷地内の空地や緑が一般的なマンションより充実していて、さらに共用施設やサービスが規模の経済を活かして豊富なことです。

しかし、タワマンならではのネガティブな面も持ち合わせています。背が高いため、柱や梁が太くなりがちで、それが住空間に圧迫感を与えやすいこと、上層階は(工法にもよりますが)地震の揺れが大きくなりやすく、家具等は金具で止めておかないと危ないこと、エレベーターが止まってしまうと取り残された状態に陥り、とくに水の供給に困ること、などです。

タワーマンションの「改善された課題、いまだ残る課題」

そこで住宅事業者(デベロッパー等)は、とくに東日本大震災以降、家具転倒防止金具設置のための下地をあらかじめ壁に埋め込んだり、防災備蓄倉庫の増設や長時間稼働の非常用電源設備を用意する、防災マニュアルを充実させるなど様々な対策を講じています。

空間の窮屈さや眺望のはえる窓まわりなども、試行錯誤を経て、ある程度「これがもっとも住居らしいタワーの専有部」と思える工法も明確になりました。「ガラス手すりバルコニー」を採用したり、「足元から天井までの大きな窓ガラス」や「柱や梁の位置を工夫する」などです。

とはいえ、いまだ世間的に認知されていないと思われることもあります。そのひとつが「風による揺れ」などでしょう。タワーマンションは強風にさらされることがあって、窓を開けられないこともあるといいますが、窓の開閉はさておき、建物そのものが風で揺れることがあるのでしょうか。また、強風にさらされていないばあいでも、体感しないだけで建物は微妙にゆれているのでしょうか?

タワーマンションが揺れるのは本当か ……風揺れ対策

そもそも背の高いオフィスビルに設置される制振装置は、風揺れ対策が主目的です。制振の字が、地震の「震」ではなく、振動の「振」を用いるのはそのためです。西新宿の超高層ビルやランドマークタワー(横浜)、スカイツリーといった地上数百メートル級の超高層建物にはたいてい風揺れ対策としての制振装置が備え付けられています。ところが、タワーマンションは「鉄筋コンクリートで建設されるため、重量が大きいことから風では揺れません」(大成建設の構造設計担当者)。マンションでも制振構造を採用する場合はあるが、それは、地震の揺れを低減させることが目的となるため“制震”と記します。「目的と表現が合致するよう使い分けている」(同)ようです。

しかし、タワーマンションでも風揺れ対策の制振装置を導入した例があります。鹿島が売主・施工・設計の「虎ノ門タワーズレジデンス」では、最上階に「アクティブ制震装置DUOX」(鹿島建設のHPでは漢字の使い分けはしていません)を設置することで「台風や春一番などの強風による揺れを1/3以下に低下させる」と記載されています。また「人が揺れを感じるより早く抑える効果がある」とも。ちなみに、このタワーは塔状比1:7という非常にスレンダーな形状であることが特徴です(公式サイトより)。

これらの事実から類推するに、こう解釈するのが妥当ではないでしょうか。つまり、タワーマンションは鉄筋コンクリートでできているため、構造上風で揺れることは考えにくいが、その形があまりに特殊な(例えば、極端にスリムあるいは平たいなどの)場合は、その高さとのバランスにおいて対策を講じる必要があるケースもある、と。

最新の高層マンションに見られるサッシュ

最新のタワーマンションで違いを感じる一つに、サッシュがあります。複層ガラスがいまや当たり前ですが、厚みのあるガラスを用いているため、取っ手がレバーハンドルになった物件が増えました。指をかける程度では簡単に開かないくらい重いです。

10年前は、見た目には普通のサッシュとさほど変わりなかったわけですが、上空の風速に耐えられているのでしょうか。経年のうちに「風切音」がしはじめたという例もあるようで、このあたりは中古マンションの購入検討時にはぜひとも注意したい点です。

AIの回答は「常に微細な揺れを起こしています」

4種類のAIに「ゼネコンの友人が「タワマン」は常に揺れていると言ってました。本当?」と質問をしたところ、すべてほぼYesの回答でした。最もわかりやすいと思ったのが、ChatGPTでした。全文を以下に転記します。

A.はい、ゼネコンの友人の方のお話は正しいです。

タワーマンション(超高層ビル)は、常に“ある程度揺れている”のが設計上の前提です。
なぜタワマンは揺れるのか?

理由1:風による力(風荷重)
高層階ではビル風・気流の影響が非常に大きくなります。
風圧は高さに比例して強くなり、無風の日でも微細な気流やビルの“呼吸”による揺れが発生する。

理由2:「しならせて耐える」構造
タワマンは「制振構造」「免震構造」といった技術で、揺れを吸収・分散する設計が主流。
地震・風のエネルギーを建物に伝えにくくするため、ある程度“しなる”ように作られている。
実際どれくらい揺れている?

高さ       揺れの幅(風による)       備考

約100m前後       数ミリ〜1cm未満              ほぼ体感なし

約200〜250m     数mm〜数cm      体感あり(特に夜間)

300m級(例:Mori JP Tower)     最大10cm以上(強風時) 頭痛・船酔い感ありの場合も

住民の実感(例)
「夜中に“ミシッ”という音がして目が覚めた」
「椅子に座っていて、じわっと揺れてると気づく」
「台風の夜は少し気持ち悪くなる」(高層階特有の感覚)

特に上層階(40階以上)は気流の変化やビルの振動を敏感に感じるため、「タワマン酔い」と呼ばれる症状(船酔いに似た感覚)を訴える方もいます。

※この記事はオールアバウト「高級マンション」に執筆した「タワーマンションは強風で揺れるのか…… デメリットと対策」をリライトしたものです


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