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参考になる間取り#11「クラッシィハウス広尾フィオリーレ」

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高級マンションの由縁

4LDK+F/249.61m2

「高級マンションの条件は何ですか?」雑誌やサイトの取材で、最も多い質問のひとつがこれだ。尋ねる側は、価格が1億円以上だとか、タワーの上層階、あるいはエリアを細かく線引くのではないかと、なかば期待している。多分そのほうが伝えやすいからだろう。とはいえ、答える方としては、その解を何年後かに読み返されたとしても、できるだけ整合性あるものにしておきたい。「利便性に優れながらも好環境。そして専有部が広いこと」。一見どこにでもありそうに思えるが、該当する物件は、それほど多くない。
 上の間取りは「クラッシィハウス広尾フィオリーレ」Fタイプ。山手線の内側では非常に珍しい第一種低層住居専用地域に立つマンションだ。南隣には、都心とは思えない大きな森。棟全体の平均専有面積は201.98㎡。東京カンテイの調査によれば、21世紀以降に竣工した全国の分譲マンションのなかで、一番広い。
 好立地の設計は、えてして当初の予定から大きくなっていく。「これほど贅沢なロケーションは稀。住まいに妥協したくない人は、すべての条件が整っていなくては満足してくれない。とくに、広さは絶対条件」。玄関、居間、食堂、寝室、浴室、収納。あらゆるスペースに「これくらい欲しい」が積み重なり、一つひとつの間取りが決まる。想定予算から逆算し、まず面積を固定してから細部を取り合うのとは真逆の作業工程である。100%顧客目線で作られるマンションは、立地の魅力が前提にあることがわかるだろう。真の高級マンションの間取りには、その土地の魂が宿っている、と言い換えても良い。

40畳超のリビングダイニングにはさまざまな仕掛けが!

たっぷり取った階高のおかげで、天井はセントラルエアコンの吹き出し口さえ凹凸なく、すっきりした空間に。観音扉に隠されたバーカウンター、そのラウンドした陰影そのものがインテリアになる折上げ天井。そして、まるで壁紙のような鬱蒼とした森。じつに優雅な空間だ。

渋谷区広尾。東京メトロ日比谷線「広尾」駅、同日比谷線・JR山手線「恵比寿」駅より徒歩13分。閑静な住宅街の低層マンションである。建物正面から受けるシンプルなイメージとは裏腹に、屋上緑化、天窓、吹き抜け、暖炉など、様々な趣向が凝らされている。地下1階地上3階建て。総戸数14戸ながら、エレベーターは2基設置。分譲は住友商事。設計はアーキサイトメビウス、施工は大成建設。2003年竣工。

住み替えやリフォームの参考になるマンションの間取り」(『都心に住む』by SUUMO連載を再編)より抜粋しました。

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