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「港区、ワンルームマンション建替え」ニュースの意味

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本日(2020年10月26日)、三井不動産レジデンシャルは「港区で初めてマンション建替え円滑化法『敷地売却制度』を活用して、浜町町にある投資用ワンルームマンションの建て替え(買受人)認可を取得、解体工事に着手した」とのリリースを出した。このニュースが持つ意味を解説する。

建替え後の完成予想イメージ
建替え後の完成予想イメージ

ニュースの概要

 概要はこうだ。

 三井不動産レジデンシャルが、事業協力者(買受人)として事業を進めてきた「浜松町ビジネスマンション敷地売却組合」において、分配金取得計画の認可を特定行政庁より取得(2020年10月7日)、土地建物の引渡しを経て、10月23日に解体工事を着手した。

 対象となる「浜松町ビジネスマンション」の概要は、JR「浜松町」駅徒歩6分、ゆりかもめ「竹芝」駅徒歩2分、地上9階建て、総戸数154戸(うち店舗2戸)、築47年(1973年竣工)、主な住戸タイプは、専有面積約12m2のワンルームであった。

 旧耐震のマンションの建て替えによる「容積率の緩和特例制度(400%→600%)を活用。平成26年6月に改正されたマンション円滑化法の「敷地売却事業」を活用した事例は、港区では本事業が初となる。

敷地売却制度を活用した経緯

 まず、耐震補強工事の選択は多額の工事費用を要するため、難易度は高かったと思われる。

 次に、建て替えの場合、現在は原則ワンルームは専有面積25m2以上とされ、ファミリータイプの附置義務もかかる。また、12m2が9割あったことから、建て替えのための経済的負担が大きいという問題もあったようだ。

 そこで、売却後の選択肢(居住や投資)や事業期間の短縮(組合関与は土地売却まで)、運営の負担軽減(新しい建物は買受人が管理)などから敷地売却制度の活用を選んだ。

 建て替え事業の合意形成は、所有者が「どこにいる?」からはじまり、連絡がつかないケースも多いと聞く。投資用マンションである本事業はなおさらで、「全国各地の権利者」との調整は相当な労力を費やしたと思われる。リリースには「港区の各種相談・手続きに対する迅速な対応」と書かれており、旧耐震マンションの課題解決に向けるスタンスが窺えるかのようだ。

■これまでの経緯とスケジュール
2014/03:建て替え推進決議
2017/04:建て替え方針決議
2018/02:港区より除却の必要性にかかる認定(要除却認定)を取得
2019/10:敷地売却決議
2020/03:容積率割増許可、敷地売却組合設立許可
2020/10:分配金取得計画の認可、解体工事着手
2021/05:本体工事着手(予定)
2023/11:竣工(予定)

本事例が持つ意味

 一般的な居住用マンションでさえ、建て替えの合意形成が困難と言われる中、所有者が住むことを前提としていない投資用のワンルームマンションが建て替えが実現するとのニュースは意義深い。

 容積率の割増、敷地売却制度(マンション建替え円滑化法)の活用、官民のサポート、どれかひとつが欠けても実現しない。建て替えによるメリットは、周辺の安全性にもおよぶもので、単なる建て替えではない。

 ワンルームマンションだから、とあきらめていた管理組合がいたら、(立地という大きなハードルがあるにせよ)このようなニュースで気持ちが変わるようなことがあるかもしれない。


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