タワーマンションの間取りについて解説します。タワーマンションの多くは、その特徴のひとつである「眺望」を引き立たせるために、大きな窓を設け開放感という魅力を享受できるよう作られています。しかしながら、住宅という点では生まれ持ったマイナス要素(になりがちな点)もいくつか持ち合わせています。ここではまずデメリットを取り上げ、次に優れたプランの例を2つご紹介します。
窓が開かない
デメリットになりやすいひとつは、窓が開けられず、自然の外気を取り込みにくい間取りが見られる点です。そもそもタワーライフは「風が強い」「物が干せない」など窓を開ける機会そのものが一般的な住宅に比べると少ないです。
しかし、「開ける機会が少ない」と「開けられない」ではまったく状況が違います。窓を開けて少し外の空気を取り込みたいとき、部屋の空気を入れ替えたいとき、それが可能と不可能の差は小さくありません。とくに暑い季節で室温が上昇しているときなど「家のなかの空気をすぐに入れ替えられない」ことに強いストレスを感じてしまうかもしれません。
眺望を得るため、フィックス窓も多用されるタワーマンションですが、換気用の小窓が付いているかどうか、確認したほうが良いでしょう。逆に、小さな窓がある場合、モノが落下しないように注意が払われているかもチェックすべきです。「眺望」「換気・通風」「落下防止」相反する諸条件を洗い出して総合的に見極めたいところです。
窓のない部屋が生れやすい
内廊下のマンションでは共通して言えることですが、タワーマンションで数百戸もの大規模ともなると「窓のない居室」を見ることが多いです。とくに中住戸は開口する面が限られているため、生じやすいと言えます。
窓のない部屋はダメだと決めつけるわけではありませんが、「誰かがそこで住む」場合は「どれくらいの期間居るか」など、詳細にイメージしないと後悔につながりかねないと考えます。子どもが小さいうちは、とか家族の誰かが住むだろうとか、あいまいなまま決断するにはあまりにマイナス面が大きいのではないでしょうか。
「物置にする」や「1日数時間、しかも夜しか使わない(例えば趣味の空間)」等であれば良いかもしれません。ダイニングスペースとして使うといった方法も一案かと思います。(が、その場合は思い切って扉と壁を取り払って一体空間として活用した方が使い勝手が格段に良いのではないでしょうか?)
暮らしやすいタワーマンションの間取り例
暮らしやすそうな「タワーマンション中住戸の間取り」として「ザ・パークタワー東京サウス」を取り上げます。11m超のワイドスパン、すべての居室がバルコニーに面しています。なので、すべての居室の窓が開きます。主寝室への動線は玄関入ってすぐから分かれています。廊下スペースを抑えつつ、(水回りを主寝室まわりに集めながら)プライベート空間を切り離すことに成功している点にご注目ください。
それ以外にも、大型シューズインクローゼット、機能的に動けそうなコの字型キッチン、整形で使いやすそうな洋室2、インテリアが映える大型(4mほどの)ワイドサッシュ!など見どころ満載です。
次のページでは、さらにスタイリッシュなタワーマンションの間取りを取り上げます。