新しい年がはじまりました。2020年は東京でオリンピック・パラリンピックが開催される年でもあります。メモリアルなイベントが開かれる年の初めに、「今年中にマイホームを」と思い立った方がいらっしゃるかもしれません。もし、いま私の目の前にそのような人があらわれたら。そして、アドバイスを乞われたら。何と答えるか。新年最初の記事はそんな思いで書いてみました。少々長めの文章になってしまうと思われます。
7つのメッセージ
1:影響の大きさに対して知識が乏しい
2:Win-Winが成立しにくい?
3:売主や施工会社で違いはあるか?
4:超低金利の利点を正しく理解する
5:市況を学ぶ
6:「何のために買うか」を明瞭に
7:資産形成と投資の違い
影響の大きさに対して知識が乏しい
まずは、住宅という商材を買うことについて、その影響の大きさと逆にそれに対する知識の乏しさを理解してください、と言うでしょう。これには異なる「3つのカテゴリー」に分類できると思います。
最初のカテゴリーは「お金」です。おそらくほとんどの人が年収の数倍もの価格のものを買うことになります。数年分の働きに見合った商品なのかどうか、慎重に検討するのは当然のこと、失敗すれば大きな損失を食らうことにもなりかねません。リスクをある程度イメージすることも大事です。ローンを組む場合は、金利や返済期間を変えて試算してみること。税金を含め、かかるコスト(イニシャルとランニング双方)も念頭に入れる。
次に「物件選び」のカテゴリーです。物件選びを間違えると、生活そのものに悪影響が出るかもしれません。通勤・通学や周辺環境といった「立地」にまつわる事柄。防音、断熱、構造、防災、耐久性といった「建物の性能」にまつわる事柄。そして家族の関係や健康、暮らし方にまで影響を及ぼしかねない間取り、設備など「住空間の質」にまつわる事柄。さらに「資産性」。人によりますが、最近はこの資産価値に重きをおいて物件を探す人が増えました。将来不安を少しでも払拭するためにマイホームに資産性を求めているのです。長くなるので、これについては7番目のアドバイスにまとめて記します。
最後のカテゴリーは「購入環境」です。買い時・売り時といったキーワードで示されることがありますが、これにプレーヤー(不動産業界)を加えたいと思います。つまり、市況、需要と供給、金利の動向、税制、売り手の状態、仲介会社とのリレーション等。非常に多岐にわたります。人によっては項目ごとに重要性にかなり差が出るかもしれません。例えば、新築に絞って探す人は仲介業者は原則無縁ですが、中古物件を視野に入れて検討する人は逆に何よりもエージェント(仲介営業マン)との関係性が大事、といったように。
ここで一番申し上げたいことは、上記3つのカテゴリーにおいて一般の人は知識が乏しいということです。下手をすれば給与の何か月分、ひょっとすると何年分にも相当するお金を失ってしまうかもしれない。にもかかわらず、これらに関する知識は誰も教えてくれません。自分で求めるしかないのです。親族や職場の上司・同僚、友人等からのアドバイス、書籍、セミナー、情報誌やポータルサイトの記事などが情報源です。
個人的には「税金」は税理士、「ローン」は大手金融機関の相談窓口、「物件選び」「購入環境」は普遍的な事柄については書籍を、常に動向が変化するものについてはセミナーか、関係官庁の公式サイトや大手デベロッパーの有価証券報告書などに目を通されることをお勧めします。下記サイトも参考のひとつにしていただければ幸いです。