2020年7月度、東日本不動産流通機構発表の「成約単価」「成約件数」のデータより、首都圏地域別の中古マンション市場動向をレポートする。今回は、成約単価にフォーカスして分析してみたい。
コロナ前後の相場はどのように変化しているのだろうか。
2020年7月「中古マンション」価格動向
下の表は、2020年7月度中古マンション「成約単価」昨年同月比をあらわしたものである。
首都圏全体では、4.7%アップ
上昇率上位5エリアは、
1.埼玉県 東部地区(17.0%アップ)
2.東京都 多摩地区(16.3%アップ)
3.東京都 城北地区(13.7%アップ)
4.神奈川県 県央地区(12.1%アップ)
5.神奈川県 横浜市(11.8%アップ)
一方、下位5エリアは
1.埼玉県 さいたま市(-9.4%ダウン)
2.千葉県 常磐地区(-7.5%ダウン)
3.千葉県 千葉市(-7.2%ダウン)
4.神奈川県 相模原市(-3.6%ダウン)
5.神奈川県 川崎市(-0.6%ダウン)
となった。
◆2020年7月度 首都圏地域別<中古マンション成約単価・件数の前年比>
成約単価上昇率順にランキングすると。
単価_前年比(%) | 件数_前年比(%) | |
埼玉県 東部地区 | 17.0% | 6.3% |
東京都 多摩地区 | 16.3% | -2.7% |
東京都 城北地区 | 13.7% | -14.7% |
神奈川県 県央地区 | 12.1% | -3.8% |
神奈川県 横浜市 | 11.8% | -10.9% |
神奈川県 湘南地区 | 10.5% | 15.4% |
東京都 城東地区 | 8.9% | 1.6% |
埼玉県 西部地区 | 7.3% | 5.0% |
千葉県 総武地区 | 4.7% | 2.4% |
東京都 城西地区 | 3.9% | 1.7% |
東京都 都心3区 | 3.1% | 0.0% |
埼玉県 中央地区 | 2.0% | 4.5% |
東京都 城南地区 | 0.8% | -8.2% |
神奈川県 川崎市 | -0.6% | -5.0% |
神奈川県 相模原市 | -3.6% | -11.6% |
千葉県 千葉市 | -7.2% | 1.0% |
千葉県 常磐地区 | -7.5% | 6.3% |
埼玉県 さいたま市 | -9.4% | 14.0% |
上表からは、これまで続いてきた都心一極集中から一転、コロナにより「郊外へ住み替え需要がシフトする予兆」とも受け取れる。しかしながら…
2019年7月「中古マンション」価格動向
下表、前年同月(2019年7月度)における中古マンション成約単価の昨年同月比をチェックすると。
首都圏全体では、2.6%アップ。
上昇率上位5エリアは、
1.埼玉県 さいたま市(17.5%アップ)
2.東京都 城南地区(10.2%%アップ)
3.神奈川県 川崎市(7.6%アップ)
4.千葉県 常磐地区(4.7%アップ)
5.東京都 城東地区(3.9%アップ)
下位6エリアをみてみると、
・埼玉県 東部地区(-14.1%ダウン)
・東京都 多摩地区(-8.4%ダウン)
・神奈川県 横浜市(-7.9%ダウン)
・神奈川県 相模原市(-7.2%ダウン)
・千葉県 総武地区(-7.0%ダウン)
・埼玉県 西部地区(-7.0%ダウン)
◆2019年7月度 首都圏地域別<中古マンション成約単価・件数の前年比>
単価_前年比(%) | 件数_前年比(%) | |
埼玉県 さいたま市 | 17.5% | 11.7% |
東京都 城南地区 | 10.2% | 17.2% |
神奈川県 川崎市 | 7.6% | 13.2% |
千葉県 常磐地区 | 4.7% | -17.5% |
東京都 城東地区 | 3.9% | 1.6% |
埼玉県 中央地区 | 3.2% | -14.3% |
神奈川県 湘南地区 | 2.9% | -24.2% |
千葉県 千葉市 | 2.7% | 8.6% |
東京都 都心3区 | 1.7% | 2.0% |
東京都 城北地区 | 1.5% | 2.9% |
東京都 城西地区 | -0.3% | 2.6% |
神奈川県 県央地区 | -1.8% | 3.9% |
埼玉県 西部地区 | -7.0% | -7.4% |
千葉県 総武地区 | -7.0% | 0.0% |
神奈川県 相模原市 | -7.2% | 0.0% |
神奈川県 横浜市 | -7.9% | 4.0% |
東京都 多摩地区 | -8.4% | 5.0% |
埼玉県 東部地区 | -14.1% | 28.6% |
前年の反動?
上記2表を比較してみると、1年前(右表)は前年比がマイナスとなっていた埼玉県東部地区、東京都多摩地区、神奈川県横浜市、神奈川県県央地区が、大きくプラスに転じている(黄色)。逆に、1年前大きくプラスになっていた埼玉県さいたま市、神奈川県川崎市、千葉県常磐地区、千葉県千葉市は、マイナスに転じている(青色)。
コロナウィルス感染拡大の影響により、都心に近い都市機能が発達したエリアから郊外の環境を重視したエリアへの住まい選びの変化によるものなのだろうかとも思えたが、このように前年比までさかのぼると、反動のようにも捉えられ、今後引き続き注視していきたい。
