下に掲載の3つのグラフは、23区中古マンション市場動向を読むためのもので、地区別「成約単価」と「在庫件数」、それに都心3区、城東地区のステイタス別「築年数」推移をあらわしている。
中古マンション市況は、金利動向や税制改正、再開発や交通インフラの整備等による利便性の向上などによって変化する。マーケットから最も関心の高い「相場の上昇・下落」は、それら要因のもたらす需要の強弱が結果として「在庫の増減」に連動することから、そのトレンドをみるのが「潮目」を捉えやすい方法と考える。端的に言えば、(原則的に)マンション相場は需給のバランスに応じて変化すると理解しておけばよい。よって、在庫トレンドは最も注視すべきデータのひとつである。成約単価は「好条件の事例」に引っ張られやすい傾向があり、様々な含みを想像しながら分析しなければならない。
一方、市場の土台となる法整備に目を向けると、大地震等災害ごとに更新を繰り返してきた建築基準法の歴史や人口動態に応じて住宅政策が変更されてきたこと等から、築年数の違いは単純に古い・新しいだけではなく、年代によっては「法の定める基準を満たしているか」「指針に沿っているか」といった観点にまで広がり、さらには「管理」への関心の高まりにより、いまや管理・修繕の実績や計画の意味を含んだ「築年数」は個人の指向の域を出、例えば「融資の審査」や「流通市場での取り扱われ方」「購入検討者の心理的・物理的負担」などにまで波及し、商品力に及ぼす影響が増してきた重要な条件のひとつと捉えられる。さらに新規供給戸数が90年代後半~2000年代前半の時期の半減の水準に落ち込んだことから、おのずと築浅に希少性が孕むことも考えられ、今後その動向を追ってみることとした。
地区別「成約単価」推移
下のグラフは、23区地区別「成約単価」の推移(「東日本不動産流通」調べ)。城西地区は前月に高値を更新し、その水準を維持している。城東地区はこれまでの高値を更新(62.99万円/m2)。
地区別「在庫件数」推移
次に、23区地区別の在庫件数。いずれの地区も在庫が減少しているが、これは例年12月は新規登録が減少する時期だから。繁忙期である年度末に向けてどのような動きをするのか注目したい。
都心3区、ステイタス別「築年数」
以下2つは成約、在庫、新規登録それぞれの築年数で、都心3区と城東地区を取り上げた。都心3区は一時期、成約と在庫の折れ線が交差する時期があったが、2017年以降は一貫して(上から)新規登録、在庫、成約の順に並んでいる。
一方、城東地区は2015年から2016年前半にかけて在庫が最も小さい値を示していた。これは、近年の湾岸エリアを中心とするタワーマンションの急増が影響しているものと思われる。成約単価で高値を更新したと前述したが、2019年12月築年数は17.44年と大きく下げたことがその要因だろう。
参考サイト:2020年新築マンションの契約率は低下する!?