「不動産価格指数」推移
下のグラフは、国土交通省発表「不動産価格指数:住宅」最新版(2019年7月リリース:2019年4月速報値)データを反映した推移である。
マンションは(2010年平均値を100とし)全国で147.7に、東京都は148.6となった。10年以内に1.5倍近く上がった格好だ。
マンションの上昇基調はいまも変わらず、またこれは東京都のみならず全国的な傾向である。東京都は住宅地も同122.1と値上がり傾向にある。
上昇の理由
マンションの価格指数が上昇した第一の理由は「相続税改正」である。基礎控除を4割圧縮した相続税改正は2015年1月施行であるが、公布は2013年3月31日であった。上掲グラフのマンション価格指数が切れ上がった起点と一致することから、つまり施行を待たずしてマーケットが反応したことから、そのインパクトの大きさがうかがえる。
よって、今回のマンション相場の変動はアベノミクス(超低金利)もあるが、「税制によるもの」とみるのが至って自然であり、これはデータ提供元の関係者取材でも確認済である。
「全国の(節税対策としての)資金が集まった」点は、マイホーム需要にはない「(購入者から見て)遠隔物件」「(一戸ではなく)複数所有」といった特性と合わせて市場に大きな影響を及ぼしている。
もちろん、共働き世帯の増加や世帯人数の減少、さらに質の向上などマンション需要の底上げには複数の要因が挙げられる。
いつまで続くか?
グラフの軌道を見る限り、一本調子がいまだ変わらないようにも見受けられる。果たして、マンションの強気相場はいつまで継続するのだろうか?
予測を立てるにあたって、重要なポイントは「節税目的の需要が拡大」したところに着目することだ。不動産が相続税の節税対策に効果があることは、以前から認知されているが、これは市場価格(実績価格)と評価額に差が生じるから。
マンションの場合、土地の持分が少なく、評価額と市場相場に開きがある特徴を有したものは「超高層マンション」の「高層階」が代表的な例である。しかも、実需市場を見ると、共働き世帯の増加やシニアカップルの買い替えなどは「駅近(利便性重視)」が人気だ。よって「駅前再開発のタワーマンション」が条件的に適合しやすく、実際周辺相場の3割~5割高くても売れ行き好評なのはこのためである。
行政区の中では、超高層建築に規制を強化するなどの動きが見られるが、こと駅周辺に限っては再開発を推進する流れは、今後さらに(場所によるが)高まる傾向にあるとみている。つまり、これらのプロジェクトが市場全体を押し上げ(新築も中古も含めて)指数的には変わらず上げていく(少なくとも高止まりする)のではないだろうか。最後に、データを読み取るうえで留意すべきは、すべてのマンションが同じ調子で値上がりしていると勘違いしないことだ。