2020年3月度、東京都の中古マンション市場動向をレポートする。東日本不動産流通機構発表の「成約件数」「成約単価」「在庫件数」の推移より、マーケットの動向を分析してみたい。
成約件数は、前年同月比-9.1%ダウン
下のグラフは、中古マンション成約件数の推移をあらわしたものである。見やすさを考慮し、首都圏は折れ線グラフで示している。2つのトレンドは、ほぼ同じような動きをしていることがわかる。
なお、直近のデータは、
・首都圏:3,642件
・東京都:1,930件 となり、
これは昨年同月比では、
・首都圏:-11.5%ダウン
・東京都:-9.1%ダウン
東京都も下落。コロナウイルスによる市場の低迷が鮮明といえる。ちなみに、東日本大震災では、2011年3月から3ヵ月連続で前年同月比-13~-18%を記録した。今月は、それをやや下回る水準であった。
成約単価は、前年同月比-1.1%ダウン
下のグラフは、中古マンション成約単価の推移をあらわしたものである。アベノミクス以降、東京都は首都圏のトレンドを上回る上昇率を継続していた様子がうかがえる。
なお、直近のデータは、
・首都圏:54.05 万円/m2
・東京都:71.05 万円/m2 となり、
これは昨年同月比では、
・首都圏: 0.2%アップ
・東京都:-1.1%ダウン
東京都においては、成約件数ほどに単価の影響(下落)は、まだ確認できないようだ。コロナウイルスによる影響は件数に大きく、相場への影響は今後継続的な注視を要する。ちなみに、東日本大震災では、2011年3月から3ヵ月連続で成約件数が前年同月比-13~-18%を記録したときでも、概ね-10%以内の下落に留まった。また、リーマンショック(2008年9月)後9か月程度も、概ね-6%から-13%であった。
在庫件数は、前年同月比-6.3%ダウン
下のグラフは、中古マンション在庫件数の推移をあらわしたものである。見やすさを考慮し、首都圏は折れ線グラフで示している。2つのトレンドは、ほぼ同じような動きをしているが、ここ1,2年は東京都の減少幅が大きいか。
なお、直近のデータは、
・首都圏:46,192件
・東京都:25,866件 となり、
これは昨年同月比では、
・首都圏:-3.3%ダウン
・東京都:-6.3%ダウン
コロナウイルスによる影響はまだ明確に確認できない。リーマンショック前後では最高129%増の在庫の積み上げがみられ、東日本大震災では約36%の増加が記録されている。引き続き注視していきたい。
下のグラフは、上記の東京都中古マンション成約単価と在庫件数の推移をあわせたもの。在庫の増加が相場に与える影響を継続的にチェックしていく。
明日は、埼玉県をレポートする。