2020年3月度、埼玉県の中古マンション市場動向をレポートする。東日本不動産流通機構発表の「成約件数」「成約単価」「在庫件数」の推移より、マーケットの動向を分析してみたい。
成約件数は、前年同月比-17.1%ダウン
下のグラフは、中古マンション成約件数の推移をあらわしたものである。見やすさを考慮し、首都圏は折れ線グラフで示している。2つのトレンドは、ほぼ同じような動きをしていることがわかる。
なお、直近のデータは、
・首都圏:3,642件
・埼玉県: 413件 となり、
これは昨年同月比では、
・首都圏:-11.5%ダウン
・埼玉県:-17.1%ダウン
埼玉県は大幅に下げた。コロナウイルスによる市場の低迷が顕著にあらわれたといえるだろう。ちなみに、東日本大震災では、2011年3月に前年同月比-17%、その後の半年間は前年同月比-5~-12%であった。今回も、それに匹敵もしくは上回るかもしれない。
成約単価は、前年同月比5.1%アップ
下のグラフは、中古マンション成約単価の推移をあらわしたものである。アベノミクス以降、埼玉県は首都圏よりやや穏やかな上昇率を継続していた様子がうかがえる。
なお、直近のデータは、
・首都圏:54.05 万円/m2
・埼玉県:33.40 万円/m2 となり、
これは昨年同月比では、
・首都圏: 0.2%アップ
・埼玉県: 5.1%アップ
埼玉県においては、成約件数ほどに単価の影響(下落)は、まだ確認できず、逆に成約単価は首都圏平均を大きく上回った結果となった。コロナウイルスによる影響は件数に多大で、相場への影響は今後継続した注視を要する。ちなみに、東日本大震災では、2011年3月から約半年間に成約件数が前年同月比-5~-17%を記録したときでも、概ね-6%以内の下落に留まった。また、リーマンショック(2008年9月)後4か月程度、概ね-6%から-14%であった。今回は、どの程度でおさまるだろうか。
在庫件数は、前年同月比-0.1%ダウン
下のグラフは、中古マンション在庫件数の推移をあらわしたものである。見やすさを考慮し、首都圏は折れ線グラフで示している。2つのトレンドは、ほぼ同じような動きをしているが、ここ1年では少し差が出てきたようにも見て取れる。
なお、直近のデータは、
・首都圏:46,192件
・埼玉県: 5,016件 となり、
これは昨年同月比では、
・首都圏:-3.3%ダウン
・埼玉県:-0.1%ダウン
コロナウイルスによる影響はまだ出ていないようであるが、過去リーマンショック前後では最高122%増の在庫の積み上げがみられ、東日本大震災では30%弱の増加が記録されている。引き続き注視する必要があるだろう。
下のグラフは、上記の埼玉県中古マンション成約単価と在庫件数の推移をあらわしたものである。引き続き、在庫の増加が相場に与える影響をチェックしていきたい。
明日は、千葉県をレポートする。