2020年4月度、神奈川県「川崎市」の中古マンション市場動向をレポートする。東日本不動産流通機構発表の「成約件数」「成約単価」「在庫件数」の推移より、マーケットの動向を分析してみたい。
緊急事態宣言発令後、マーケットはどのように変化したのだろうか。
成約件数は、前年同月比 -48.6%ダウン
下のグラフは、中古マンション成約件数の推移をあらわしたものである。見やすさを考慮し、神奈川県は折れ線グラフで示している。直近、4月度の数値が急減しているのがわかる。
昨年同月比で、
・神奈川県:-52.1%ダウン
・川崎市:-48.6%ダウン
と、大幅な減少となった。ちなみに首都圏は-52.6%ダウンである。
東日本大震災では、2011年3月から2か月連続で前年同月比-11%、その後-25%を記録したが、前月(3月の-25.9%)に続いてそれらを大きく上回るダウンである。
実数では、川崎市が93件。これは2008年1月以降、もっとも低い値である。神奈川県全体でも同期間において最低値を記録した。
成約単価は、前年同月比 0.2%アップ
下のグラフは、中古マンション成約単価の推移をあらわしたものである。
4月度のデータは、
・神奈川県:41.86万円/m2
・川崎市:51.57万円/m2 となり、
これは昨年同月比では、
・神奈川県:-2.4%ダウン
・川崎市:0.2%アップ
川崎市においても、成約件数ほどに単価の影響(下落)は確認できない。コロナウイルスによる影響は件数に大きく、相場への影響は今後継続的な注視を要する。ちなみに、東日本大震災では、2011年3月以降で成約件数が前年同月比-11〜-25%を記録したときでも、概ね-11%以内の下落に留まった。また、リーマンショック(2008年9月)後9か月程度、概ね-3%から-13%であった。
在庫件数は、前年同月比 -2.0%ダウン
下のグラフは、中古マンション在庫件数の推移をあらわしたものである。見やすさを考慮し、神奈川県は折れ線グラフで示している。2つのトレンドは、ほぼ同じような動きをしているが、川崎市は4年ほど前から著しい増加の傾向にあたっがこの1年で減少傾向になっている。
4月度のデータは、
・神奈川県:11,468件
・川崎市:2,163件 となり、
これは昨年同月比では、
・神奈川県:2.5%アップ
・川崎市:-2.0%ダウン
急減(前年同月比-48.6%)した成約件数に対し、新規登録件数は-16.1%であった。
川崎市は3か月連続で減少。コロナウイルスによる影響はまだ明確に確認できない。ちなみに、リーマンショック前後では最高129%増の在庫の積み上げがみられ、東日本大震災では約47%もの増加が記録されている。引き続き注視していきたい。
下のグラフは、上記の川崎市中古マンション成約単価と在庫件数の推移をあわせたもの。在庫件数の増加が相場に与える影響を継続的にチェックしていく。
明日は、神奈川県 横浜市をレポートする。
参考サイト
神奈川県 川崎市 中古マンション築年数(2020年2月度)
神奈川県 川崎市 中古マンション市場動向(2020年3月度)