「麻布」の拡大
麻布、赤坂、青山のイニシャルを取って称する「3A(スリーエー)」。都心居住憧れの地を象徴したキーワードのひとつである。近年では、隣接する「六本木」も含め、その不動産市場動向に関心が集まっている。
下のグラフは、東京都のデータを元に「2002年から2019年」までの世帯数の推移をグラフであらわしたものである。4つのエリアの中では断トツで麻布エリアが多く、また伸びも大きいようである。
再開発の活発化や都心居住ニーズの高まりから、多くのエリアで世帯数は右肩上がりであるが、上記4エリアの中でも「青山」だけはその傾向が見受けにくい。逆に2007年から2011年の4年間は減少を続けたくらいだ。では次に、世帯数の伸び率をもう少しエリアを増やして比較してみよう。
目覚ましい湾岸エリアの伸び
下のグラフは、2019年世帯数を縦軸に、2002年から2019年(17年間)の世帯数増加率を横軸に、港区のエリアをプロットしたもの。各エリアの所在地内訳は以下の通り。
青山:南青山、北青山
赤坂:赤坂
六本木:六本木
南麻布・元麻布:南麻布、元麻布
麻布十番・麻布台エリア:上記以外の「麻布」が付く地名
虎ノ門・新橋エリア:虎ノ門、愛宕、「新橋」が付く地名
三田・高輪:三田、高輪
芝・港南エリア:芝、芝公園、芝大門、芝浦、港南
白金・白金台:白金、白金台
最も増加率の高いエリアは「芝・港南エリア」で、157.4%の伸び率を見せた。「2.5倍以上」である。次に、虎ノ門・新橋エリアとなるが、そもそも世帯数が少ないため、港区の中ではまだまだ住まいの選択肢としては多くないともいえる。
「青山」の希少性
白金、麻布、赤坂、六本木、高輪といった人気エリアが軒並み40%前後~80%前後の高い世帯数の伸びを示しているのに対し、「青山」だけは変化が見られない。17年間の増加率にして、わずか「2.2%」である。
データは住民基本台帳記載を取りまとめたもの。都心好立地のマンションでは「セカンド」「サード」といった使い方も珍しくないため、世帯数と新築マンションの建設戸数は必ずしも正確には連動しない。
また、世帯数の変化に影響を及ぼすような大規模な集合住宅(マンション)の建設にあたっては、規制や許認可、街区構成などが影響するため、人気(需要)や相場動向とは別の要因が主で変化をもたらすものである。
しかしながら、様々な状況、前提を考慮した上でも、このデータは「青山」の希少性を再認識させる。稀に、南青山で分譲マンションが出ても「(他エリアでは見られないくらい)購入者は同じアドレスであることが多い」(業界関係者)といったコメントを裏付けるものでもある。
参考サイト:「虎ノ門ヒルズレジデンシャルタワー」の分譲価格