2020年4月度、千葉県 「千葉市」の中古マンション市場動向をレポートする。東日本不動産流通機構発表の「成約件数」「成約単価」「在庫件数」の推移より、マーケットの動向を分析してみたい。
緊急事態宣言発令後、マーケットはどのように変化したのだろうか。
成約件数は、前年同月比 -57.3%ダウン
下のグラフは、中古マンション成約件数の推移をあらわしたものである。見やすさを考慮し、千葉県は折れ線グラフで示している。直近、4月度の数値が急減しているのがわかる。
これは昨年同月比では、
・千葉県: -52.7%ダウン
・千葉市: -57.3%ダウン
“じつは首都圏のなかで多摩地区が -59.2%ともっとも減少したのだが”、続いて城東地区が -57.4%、千葉市はそれに続く減少であった。ちなみに首都圏は -52.6%ダウンである。
東日本大震災では、2011年3月以降3か月連続で、前年同月比-22%~-51%を記録したが、それらを大きく上回るダウンである。

実数では、千葉市が53件。これは2008年1月以降、もっとも低い値である。千葉県全体でも、同期間において最数値を記録した。
成約単価は、前年同月比 -16.6%ダウン
下のグラフは、中古マンション成約単価の推移をあらわしたものである。
4月度のデータは、
・千葉県:24.15万円/m2
・千葉市:20.17 万円/m2 となり、
これは昨年同月比では、
・千葉県: -11.3%ダウン
・千葉市: -16.6%ダウン
首都圏全体では、相模原市(-31.8%)、総武地区(-17.7%)に次ぐダウンとなった。
千葉市は、単価が大きく下落。コロナウイルスは件数、単価ともに負の影響をもたらしていることが4月時点で明確である。ちなみに、東日本大震災では、2011年3月から成約件数が前年同月比-22~-51%を記録したときには、おおむね-8%以内の下落に留まった。また、リーマンショック(2008年9月)後6か月程度、おおむね-9%から-14%であったから、すでに過去2大不況を上回る落ち込みであり、今後の展開に注視したい。

在庫件数は、前年同月比 3.3%アップ
下のグラフは、中古マンション在庫件数の推移をあらわしたものである。見やすさを考慮し、千葉県は折れ線グラフで示している。2つのトレンドは、ほぼ同じような動きをしている。しかしこの2,3年で千葉市の増加が著しい。
なお、直近のデータは、
・千葉県: 3,883件
・千葉市: 994件 となり、
これは昨年同月比では、
・千葉県: 1.8%アップ
・千葉市: 3.3%アップ
急減(前年同月比 -57.3%)した成約件数に対し、新規登録件数は -19.2%であった。
コロナウイルスによる影響はまだ出ていないようだ。過去リーマンショック前後では最高132%増の在庫の積み上げがみられ、東日本大震災では約47%の増加が記録されている。引き続き注視する必要があるだろう。

下のグラフは、上記の千葉市中古マンション成約単価と在庫件数の推移をあらわしたものである。引き続き、在庫件数の増加が相場に与える影響をチェックしていきたい。

参考サイト
千葉県 千葉市 中古マンション築年数(2020年2月度)
千葉県 千葉市 中古マンション市場動向(2020年3月度)