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参考になる間取り#25「有栖川パークハウス」

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ガラスの向こう側

3LDK/174.34m2

もしこの世に「間取りの教科書」が存在したなら、上掲のプランは及第点をもらえないかもしれない。リビングダイニング(以下、LD)に据え置かれた2本の柱。出っ張りも含めると寝室にもその存在感を露わにしている。
だが、それを差し引いても余りある注目点がある。まず、内と外を隔てる壁面。LD空間は、なんとすべてガラスで覆われている。主寝室には縦長の片開き窓を3つ連続させ、プライバシーの配慮を。ほかの2つの居室では、特大のピクチャーウィンドーを用いている。図面からは分からない情報としてはキッチンの高級感である。ヨーロッパを中心にハイグレードなキッチンはいかに機能的でありながら、居室に劣らない落ち着きを感じさせることができるかといったデザインが主流。例えば、カウンタートップは分厚いステンレスを用いるも、側面からはその存在感がわかりにくいデザインが施されている。当物件は、まさにその導入例の一つ。日本では海外ブランドの実績が少ないため、設計者がオリジナルで作ったという逸話がある。
廊下はあえて「ホール」と表記されているように、幅が広く小ぶりのアートが飾れる空間をイメージしている。
なぜここまで、欧米のライフスタイルを意識しているのか。答えは立地にある。現地は、有栖川宮記念公園を南に臨む場所。南傾斜の坂上に位置し、周囲には欧州の大使館が点在している。
まず、緑の借景を最大限享受したい。次に、先進諸国の目線で洗練された住宅でありたいとするコンセプトが自然に採用されたのだろう。ガラスに包まれた建物は、有栖川の高台で小さいながらも十分にその存在感を醸し出している。

住み手の暮らし方が問われる「見せる空間」

柱がなければ、空中に浮かんでいるような感覚にとらわれるのではないだろうか。壁のない未体験の空間。間接照明付きの大きな折り上げ天井も幻想的だ。ダイニングを照らすダウンライトも埋め込み型である。ここでは「見られる」ではなく「見せる」くらい感覚が必要かもしれない。

港区区元麻布。東京メトロ日比谷線「広尾」駅から徒歩8分。外国人の顧客比率が高い「ナショナル麻布スーパーマーケット」から、有栖川宮記念公園を右手に坂を上りきった交差点の程近く。一見してマンションとは思えないほど、実に個性的な外観である。総戸数23戸。分譲は三菱地所。設計は三菱地所設計、施工は東亜建設工業。2008年竣工。


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「都心に住むby suumo」(リクルートホールディングス)
連載『間取りに恋して』(2012年3月~2018年8月)再編集
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