小規模マンションの魅力
建物の形状が細長で、敷地面積の小さなマンションを「ペンシル型」などと称することがある。エントランスをはじめ、共用部分はおのずとこじんまりとした空間にならざるをえず、全体的にスケールメリットはあまり感じられないかもしれない。ところが、居住性はメリットが多い。角部屋比率が高くなり、セキュリティにかける負担も相対的に少なくて済むからだ。
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3つある洋室のうち、ふたつが角。その良さを実感できるよう角窓を採用している点にも注目したい。浴室だけでなく、洗面室にも開口を設ける。サイズや形も高い満足感を覚えるだろう。洋室はすべて6畳以上。収納も多く、程よく分散させている。浴室は1822の特大サイズ。玄関部分にもゆとりがあり、一戸建てのような開放感が得られそうだ。
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構造は免震。細長い建物は必然と揺れやすくなるわけだが、構造上におけるデメリットも払拭。逆に、免震構造ならではの柱梁の出にくい利点を活かしている。
立地特性と時代の流れを表現
かつて高級マンションのキッチンは、ダイニングスペースとは分割するレイアウトが好まれたが、現在は一体化が主流。調理の過程も食の一部と捉えるようになった。とはいえ、仕上げは天然石のカウンターに濃い色を用いた面材を多用。立地のイメージから重厚感を重んじている。
千代田区一番町。半蔵門線「半蔵門」駅 徒歩3分。都心の真ん中にありながら、閑静な住宅街として知られる「番町」を象徴するような立地環境である。現地周辺にはヴィンテージマンションの代表格「ホーマットマンションシリーズ」が点在。地上14階地下2階建て。総戸数24戸。分譲三菱地所。施工大林組。2011年竣工。
著書「住み替え、リフォームの参考にしたいマンションの間取り(『都心に住む by SUUMO』 連載企画 【間取りに恋して】再編)」より一部転載