充実のプライベートタイム
「良い間取りの条件を、ひとつ挙げよ」マンションづくりに携わる人たちに、もしもこんなお題が出されたとしたら。おそらく、最も多いと思われる答えは、「P・P(プライベート・パブリック)分離」ではないだろうか。私的な空間(Private)と人が集まる場所(Public)とを振り分け、プライバシーを守りながらも、気兼ねなくお客さんを招くことのできる利点があるからだ。
そこで、そのお手本のような例はないかと選んだのが上の図面。「クロイスターズ広尾」F1タイプ。細部にわたって丁寧に作りこまれた、じつに見応えのある間取りである。
(以下、省略)
資料提供 鹿島建設
極め尽くされた空間で静かな心地良さに浸る
ライムストーンとカーペット仕上げの床。洗面カウンターは天然石削り出しである。薄く二段に折り上げたリビングの天井。窓や隠蔽型エアコンの吹き出し口はシンメトリに配置。簡素に抑えた装飾が上質な素材を一層引き立て、空間には驚くほどの静寂感と極上の心地よさが漂う。
<クロイスターズ広尾>
渋谷区広尾2丁目。東京メトロ日比谷線「広尾」駅から徒歩8分。尾根づたいを南北に走る「日赤通り」に面す。都心では珍しい3階建ての低層マンション。全戸南向きで、専有面積は150㎡以上。総戸数はわずか17戸。“知る人ぞ知る”物件である。分譲・施工、鹿島建設。設計はアーキサイトメビウス。2004年竣工。
著書「住み替え、リフォームの参考にしたいマンションの間取り(『都心に住む by SUUMO』 連載企画 【間取りに恋して】再編)」より一部転載