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「神楽坂」と「麻布十番」の共通点

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老舗名店は門前町にあり

現代の商業施設は、鉄道駅周辺に集積するのが一般的だ。では、それ以前の時代はどうかといえば、日常的な飲食店は神社仏閣に向かうアプローチつまり門前町に集まっていた。庶民の慣習に合わせ、便利な場所に経済が生れるという点で今も昔と変わらない。

この視点は、街の個性を知るときに役立つ。例えば、和食の老舗名店は駅前の商店街にはない。「寿司」「蕎麦」「鰻」「お茶請け」といった類の有名店は多くの場合、門前町発祥である。

東京では、富岡八幡宮の門前仲町、浅草寺、明治神宮の表参道などが有名か。駅から遠いにもかかわらず、なぜこんなところに行列が?といった和食系の飲食店があれば、必ずと言っていいほど近くに神社があるはずだ。

毘沙門天の神楽坂

千代田区周辺のマップイメージ
千代田区周辺のマップイメージ

神楽坂は、外濠に向かって下る坂道だが、脇に入った小径を含め一帯を指す地域名称である。風情ある佇まいの料亭やオーナーシェフのレストランが点在し、高層化が進む都心にあって独特の街並みが残る街として知られている。

都内の繁華街といえば、若者に特化した渋谷、サラリーマンが集まる新橋など固有の客層比率が圧倒する場合が多いが、神楽坂の場合やや異なっている。近隣や東西線沿線にある教育機関の学生、比較的商業施設の少ない千代田区番町の居住者など老若男女、多国籍の顧客を吸収するエリアといった印象を受ける。

その神楽坂も「善國寺」の門前町として発展してきた経緯がある。現在都営大江戸線が走る地上部には都電が通り、当時は今以上の賑わいを見せていたという。新宿が発展し、人の流れが変わったというものの今だ「人気の街」であるのは他にはない空気感を漂わせているからだろう。

神社仏閣+船着場

神楽坂が反映した理由には、門前町という性格にもう一つ要素が加わる。それは「船着場」があったこと。現在も「神楽河岸」という住所名が残っている場所だ。鉄道や車がなかった時代の物流の要であった「船の発着所」とランドマーク「善國寺」が組み合わさったことで、都内有数の繁華街が誕生した。

この組み合わせは、麻布十番も同じである。麻布山「善福寺」の門前町として、また船着場「一の橋」の地の利で麻布十番は繁栄した。今でこそ、地下鉄の駅があるが、それまでは「陸の孤島」と呼ばれてきた。なぜ駅がなかったのに、商店街や有名飲食店が集積しているのかというとその様な沿革があったから。


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