2020年4月度、東京都「都心3区」の中古マンション市場動向をレポートする。東日本不動産流通機構発表の「成約件数」「成約単価」「在庫件数」の推移より、マーケットの動向を分析してみたい。
緊急事態宣言発令後、マーケットはどのように変化したのだろうか。
成約件数は、前年同月比-54.8%ダウン
下のグラフは、中古マンション成約件数の推移をあらわしたものである。見やすさを考慮し、東京都は折れ線グラフで示している。直近、4月度の数値が急減しているのがわかる。
昨年同月比で、
・東京都:-55.3%ダウン
・都心3区:-54.8%ダウン
と、大幅な減少となった。ちなみに首都圏は-52.6%ダウンである。
東日本大震災では、2011年3月から3ヵ月連続で前年同月比-28~-30%を記録したが、それら大きく上回るダウンである。
実数は、都心3区が98件。これは2008年1月以降、2011年8月「77件」に次いで低い値である。東京都全体では同期間において最低値を記録した。
成約単価は、前年同月比-2.5%ダウン
下のグラフは、中古マンション成約単価の推移をあらわしたものである。
4月度のデータは、
・東京都:70.18 万円/m2
・都心3区:115.52 万円/m2 となり、
昨年同月比では、
・東京都:-0.9%ダウン
・都心3区:-2.5%ダウン
都心3区において、単価への影響(下落)は、成約件数ほどには出ていないようだ。コロナウイルスによる影響は件数に多大で、相場への影響は今後継続した注視を要する。ちなみに、東日本大震災では、2011年3月から3ヵ月連続で成約件数が前年同月比-28~-30%を記録したときでも、概ね-11%以内の下落に留まった。しかしながら、リーマンショック(2008年9月)前後8か月程度は、概ね-12%から-24%を記録した。
在庫件数は、前年同月比-10.2%ダウン
下のグラフは、中古マンション在庫件数の推移をあらわしたものである。見やすさを考慮し、東京都は折れ線グラフで示している。2つのトレンドは、ほぼ同じような動きをしているが、ここ2,3年は都心3区の減少が著しい。
4月度のデータは、
・東京都:25,888件
・都心3区:3,371件
昨年同月比で、
・東京都:-4.9%ダウン
・都心3区:-10.2%ダウン
急減(前年同月比-54.8%)した成約件数に対し、新規登録件数は-26.9%であった。
都心3区は5か月連続で減少。コロナウイルスによる増加の影響は確認できない。それよりも市況低迷を予測し、売り出しを取り止めたオーナーがいそうである。ちなみに、リーマンショック前後では最高131%増の在庫の積み上げがみられ、東日本大震災では30%弱の増加が記録されている。引き続き注視する必要がある。
下のグラフは、上記の都心3区中古マンション成約単価と在庫件数の推移をあらわしたものである。引き続き、在庫の増加が相場に与える影響をチェックしていきたい。
参考サイト
都心3区 中古マンション築年数(2020年2月度)
東京都 都心3区 中古マンション市場動向(2020年3月度)