2020年5月度、埼玉県「さいたま市」の中古マンション市場動向をレポートする。東日本不動産流通機構発表の「成約件数」「成約単価」「在庫件数」の推移より、マーケットの動向を分析してみたい。
アフターコロナのマーケットはどのように変化したのだろうか。
成約件数は、前年同月比-43.6%ダウン
下のグラフは、中古マンション成約件数の推移をあらわしたものである。見やすさを考慮し、埼玉県は折れ線グラフで示している。5月度の数値も大幅に減少しているのがわかる。
5月度のデータは、
・埼玉県:202件(4月は、223件)
・さいたま市:44件(4月は、45件) となり、
これは昨年同月比で、
・埼玉県:-37.5%ダウン(4月は、-40.8%ダウン)
・さいたま市:-43.6%ダウン(4月は、-50.0%ダウン)
2か月連続で大幅な減少となったが、前月(4月)と比較するとやや盛り返している。ちなみに首都圏は-38.5%ダウン(4月は、-52.6%ダウン)である。
東日本大震災では、2011年3月に-38%、その後も2ヵ月前年同月比-22~-25%を記録したが、それらを大きく上回るダウンである。

成約単価は、前年同月比 0.8%アップ
下のグラフは、中古マンション成約単価の推移をあらわしたものである。
5月度のデータは、
・埼玉県:31.32万円/m2
・さいたま市:44.76万円/m2 となり、
これは昨年同月比では、
・埼玉県:-3.6%ダウン
・さいたま市:0.8%アップ
さいたま市においても、成約件数ほどに単価の影響(下落)は、まだ確認できないようだ。コロナウイルスによる影響は件数に多大であり、相場への影響は今後継続した注視を要する。ちなみに、東日本大震災では、2011年3月以降で成約件数が前年同月比-22~-38%を記録したときには、おおむね-9%以内の下落に留まった。しかしながら、リーマンショック(2008年9月)前後の6か月程度は、おおむね-11%から-20%であった。

在庫件数は、前年同月比-1.4%ダウン
下のグラフは、中古マンション在庫件数の推移をあらわしたものである。見やすさを考慮し、埼玉県は折れ線グラフで示している。2つのトレンドは、ほぼ同じような動きをしている。
5月度のデータは、
・埼玉県:5,089件
・さいたま市:1,239件 となり、
これは昨年同月比では、
・埼玉県:3.7%アップ
・さいたま市:-1.4%ダウン
ここでもコロナウイルスによる影響はまだ明確に確認できない。ちなみに、リーマンショック前後では最高131%増の在庫の積み上げがみられ、東日本大震災では54%もの増加が記録されている。引き続き注視する必要があるだろう。

下のグラフは、上記のさいたま市中古マンション成約単価と在庫件数の推移をあらわしたものである。引き続き、在庫件数の増加が相場に与える影響をチェックしていきたい。

次回は、埼玉県 中央地区をレポートする。
参考サイト
さいたま市 中古マンション築年数(2020年2月度)
埼玉県 さいたま市 中古マンション市場動向(2020年3月度)
埼玉県 さいたま市 中古マンション市場動向(2020年4月度)