「東日本不動産流通機構」発表『マーケットウォッチ』データから、埼玉県を抽出し、10年以上にわたる中古マンション市場の動向をまとめる。本日は、成約単価、成約築年数、在庫件数をフォーカスする。
相場けん引役は、「さいたま市」と「中央地区」
下のグラフは、埼玉県のマンション市場を4つの地区に分類し、成約単価の推移をあらわしたもの。4地区の行政区分は以下の通り。
青色の折れ線:さいたま市
橙色の折れ線:中央地区(川口市、戸田市、鳩ヶ谷市、蕨市、上尾市)
灰色の折れ線:西部地区(和光市、朝霞市、新座市、志木市、富士見市、上福岡市、川越市、所沢市、狭山市、入間市)
黄色の折れ線:東部地区(八潮市、三郷市、草加市、越谷市、春日部市)
赤色の折れ線:埼玉県
埼玉県内の中古マンション相場は、すべての地区において上昇トレンドにある。けん引役は「さいたま市」と「中央地区」である。両地区は、2008年から2017年くらいまでは同等に推移していたが、ここ2018年くらいからは「さいたま市」が上目に推移するようになった。しかしながら直近3ヵ月前から再び同水準になった。西部地区は、リーマンショック前後は県全体水準と同等であったが、以降下回るようになり、その差は開いていくように見える。
全地区での最高値は、2018年10月に記録した「さいたま市」47.83万円/m2である。下で述べるが築年数が低く、特殊な成約事例がけん引したものと思われる。
成約築年数は、県全体で22.64年
下のグラフは、成約ベースの築年数の推移である。「さいたま市」「中央地区」の2地区が全体より低い。よって、上段で述べた(けん引役と称した)成約単価の値は、その点を考慮して認識すべきであろう。
新築マンションの供給する立地は、より都心部に近く(または行きやすく)、駅に近くなる傾向にあることから、今後築年数の地区毎の開きはますます顕著になることが想定できる。そして、その事象は成約単価に反映されることにもなるだろう。
在庫増「さいたま市」「中央地区」、東部地区は変化なし
下のグラフは、在庫件数の推移である。「西部地区」がどの地区よりも高水準に推移していたが、2019年頃から「さいたま市」「中央地区」が増加著しく、追いつく格好となっている。
一方、東部地区は安定しており、他地区には見られない軌道である。これは東京と23区のどの地区にもない傾向であり、郊外型のトレンドなのかどうかを今後他県他地区にて検証を試みたい。